知的財産権の各種

ベトナム知的財産権

ベトナムにおける知的財産権は、2005年は民法の範囲でしたが、WTOへの加盟をきっかけに多国間協定TRIPSに批准する形で知的財産法が定められ、2009年に修正・加筆が行われています。

まず大きく「著作権及び著作隣接権」「工業所有権」「植物品種の権利」と分かれます。

「著作権及び著作隣接権」は、「著作権」及び「著作隣接権(実演や録音・録画、放送番組、暗号化通信に係る組織又は個人の権利)」に分かれ、「著作権」には「人格権」と「所有権」があります。

「工業所有権」は、「特許」と「実用新案」を含む「発明権」、その他に「工業意匠権」「半導体集積回路の配置に対する権利」「商標権」「商号権」「地理的表示権」「営業秘密」「不正競争防止権」で構成されます。

知的財産権の主な行政手続き

【商標登録】

基本的に、日本からの登録が可能ですが、ベトナムで行う場合には、申請書や親会社からの委任状などの数種類の書類で知的財産局に対して
申請を行います。

(1)形式のチェック(凡そ2か月)
(2)公示(凡そ2か月)

その後、内容の精査に12か月弱かかり、登録済みの文書が発行されます。

【著作権保護】

権利者を確認後、商標より少し多い申請書類にて著作権局に申請を行い、通常は2か月程度で著作権登録証明書が発行されます。
特別な事情がある場合には、さらに2か月程度を要することもあります。

知的財産権「被侵害時」「侵害時」の対処

【日常の心得】

知的財産の侵害又は被侵害時の権利執行は日本国や諸外国に比べて「不便」であるという前提、且つ知的財産侵害事案は日本国や諸外国に比べて多いという前提を意識してください。

日本にて通常使用されるC(copyright)マーク(著作権は当該マークを付加しなくても存在しますが自発的に示す意味で使われます)、Rマーク(登録された商標を示すマーク)、TMマーク(登録中の商標を示すマーク)は、ベトナムではあまり馴染みがないと言うことができ、一般的には、以下のような偽造防止シールが使われています(各シールはインターネットに公開されているものを引用しました)。

【侵害を受けたときの初動】

まずは、当該侵害の終了、謝罪、公なる是正、損害賠償などの貴社要求の通知書を送ります。
通知書はベトナム国の法務に長けた者であれば誰でも書けるレベルのものですが、論点を整理する必要があります。お問い合わせください。

【侵害を受けたときの解決措置】

民事訴訟、刑事訴訟、行政手続きの3つに分かれます(2009年以降、特許と実用新案、及び工業意匠については刑事訴訟の対象とはなっていません)。その内、民事訴訟及び刑事訴訟は実務の煩雑さより対応数は少なく、大半は行政手続きによって対応されています。

常習的に侵害されるケース等においては、行政手続きによる対抗を経て民事又は刑事訴訟に移行し、損害賠償請求を行うことが一般的な権利執行の実務手順とされます。

一般的に、知的所有権の権利執行には「損害の事実証明」が必要となり、日本や他国でも当該証明作業は難易度が高く、且つベトナム国においては、知的所有権侵害事案を専門的に取り扱う裁判所が設置されていないことに注意が必要です。

主に使用される行政手続きは、知的財産局、科学技術省、裁判所(又は行政訴訟)の3段階に分かれて進みます。通常事件は、第1ステップの知的財産局で終了します(商標権や特許権の取り消しなど)。少々分かりにくいですが、これらの手続き窓口は、人民委員会(知的財産局)、科学技術省のほか、経済警察、市場管理局、税関など、その事件によって異なります。

最も分かりやすい税関を例に上げると、税関では「模倣品」の登録(監視)が1年毎に可能です。商標や著作権、地理的表示権について取り締まります(並行輸入は合法であることに注意が必要です)。

経済警察や市場管理局の実務手順は法令にて具体的に定められていますが、当局とのやり取りには、ベトナムにおけるその他の行政手続き同様に慣れやテクニックが必要される場合があります。

【侵害をしている(侵害をしてしまっている)と通告を受けた際の初動】

ベトナム国は判例が一般に公開されていないため、法律の独自解釈(積極解釈)に基づいて、貴社があたかも他社の知的財産権を侵害しているかのような内容を記載した通告を送ってくるケースがあるかもしれません。お問い合わせください。