2019年11月15日、民間航空業界における条件付き事業分野や活動を規定する政令92/2016/ND-CPの一部を改定する政令89/2019/ND-CPが公布されました。これは航空輸送分野における出資規制を修正しています。
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従来規定
政令92/2016/ND-CPの第8条においては、資本に関する条件を次のように規定しています。
- 最大10機の飛行機を運航する航空輸送企業の最低資本額は、国際航空輸送サービスを提供する企業には7,000億ドン、国内航空輸送サービスのみを提供する企業には3,000億ドンとする。
- 11機から30機の飛行機を運航する航空輸送企業の最低資本額は、国際航空輸送サービスを提供する企業には1兆ドン、国内航空輸送サービスのみを提供する企業には6,000億ドンとする。
- 30機を超える飛行機を運航する航空輸送企業の最低資本額は、国際航空輸送サービスを提供する企業には1兆3,000億ドン、国内航空輸送サービスのみを提供する企業には7,000億ドンとする。
- 外資を有する企業における外資比率は、定款資本の30%を超えてはならない。
- 外資を有さない企業からの外国投資家への株式又は持分の一部譲渡は、航空輸送事業の許可証交付の日から2年を経過した後に限り許可される。
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新規定
政令89/2019/ND-CPの第5条1項においては、上記の規定が以下のように修正されています。
- 国際航空輸送サービスを提供する企業及び国内航空輸送サービスのみを提供する企業を区別せずに次のように最低資本額を規定する。
- 最大10機の飛行機を運航する航空輸送企業の最低資本額は、3,000億ドンとする。
- 11機から30機の飛行機を運航する航空輸送企業の最低資本額は、6,000億ドンとする。
- 30機を超える飛行機を運航する航空輸送企業の最低資本額は、7,000億ドンとする。
- 外資を有する企業における外資比率は、定款資本の34%を超えてはならない。
- 譲渡の条件について撤廃する。
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ベトナムの航空輸送業界の中心は現在、ベトナム航空、ベトジェットエア、バンブー航空となっています。高速鉄道や高速道路などのインフラが乏しいベトナムでは、航空輸送業界は、旅客数も貨物輸送量も毎年大きな成長を見せており、昨今は、不動産開発や旅行の大手が各地域の観光資源などを開発すると共に航空輸送業界に参入してきています。カイトエア、ベトラベルエアの参入表明のほか、ビングループも2019年12月に参入表明をしました。
しかしながら、ビングループは、その半月後に参入を断念しています。関係筋からは、課題として、空港が過負荷状態にあることや、乗務員の職がひと昔前のように花形ではないことから、人材の確保やサービス品質の向上が急務であると聞きます。
今回ご紹介した政令89は、そのような中で公布され、2020年1月1日より施行されています。上記以外にも、中古航空機の輸入規制などについても定められています。
今後、需給バランスがどのように変化していくのか、興味深い業界と言えるでしょう。