国外子会社の管理は年々重要となってきています。現地代表者や現地管理者の属人的な体制からの脱却がテーマとなり、これらが不正対策の初動とも言えます。

ベトナムでの不正行為の類型

弊社では大きく以下のように類型化しています。

  • 不正な関連者間取引
  • 不正出金
  • 不正なキックバック
  • 不正登記
  • 公金詐欺
  • 贈収賄
  • 不正競業
  • 粉飾・循環取引

これらは、ベトナム人がという意味ではなく、現地代表者となっている日本人が主導しているケースも想定しています。

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例えば、下記のようなベトナム現地法人の行為を見抜くことができますでしょうか。

  • 実際にはない残業時間の計上
  • 実際には勤務していない友人知人との労働契約、社会保険の支払い
  • 個人使用の建物や車両の賃借料・リース料の計上
  • 会計証憑の揃っていない従業員立替費用の承認
  • 在庫品や原材料の横流し

これらは「不正出金」の事例ですが、「不正登記」「公金詐欺」などは、日本法・日本の常識からは予防しにくいことが多いです。

ベトナムでの不正対策・予防、紛争対応

ベトナムで不正行為が疑われる場合、何をどのように検査すれば不正行為が裏付けられるのでしょうか?言葉の問題もあり、難しいですね。

そもそも、ベトナムで不正行為となるのは具体的にどのような行為でしょうか。法令の根拠を知っておかねばなりません。

不正行為の裏付け、根拠が揃ったとして、それらをもってどのような対処を行うことができるのでしょうか。日本の訴訟制度、日本の警察組織とは全く異なることが予想されますが、実際はどうでしょう。

一般論としてベトナムは「法治」ではなく「人治」と言われます。

話し合って決めるのか?
そうではありません。

例えば、ベトナム人弁護士の裁量で交渉解決するケースも「人治」と言えるでしょう。
ベトナム人弁護士の裁量は一般人にはわかりませんし、ベトナム人弁護士の訴訟経験は一般的な日本人弁護士に比べて少ないものです。日本人弁護士(外国登録弁護士)、日系法律事務所などはベトナム法に参加できません。

そもそも、人治であれば、果たして弁護士でないとできない業務でしょうか?

いまベトナムはこのあたりかな、弊社はそう考えています。

弊社で対応していること

対策・予防は、もちろん可能です。
不正検査の第1段階として、監査報告書一つ弊社に送っていただくだけでも(ベトナム語のままで結構です)、不正の可能性を探ることができます。

実際に不正がある場合、隠蔽を防ぐには堂々と不正検査をやるわけにいきませんので、現地法人の采配を再度握ることができるように、しっかりと計画を練る必要があります。

例えば、「非法的措置(法的措置を使わない方法)」として何ができるのか、「法的措置」はどの程度のスケジュールでできるのかを迅速に整理します。

「法的措置」とは、民事訴訟、刑事事件、行政訴訟、仲裁や調停などです。進める場合には、経験豊富なローカルの弁護士事務所や法律事務所を選定し、証拠収集と争点の整理を行った上でベトナム語で説明をして初めて見通しが立ちますので、ここまでをいかに迅速に行うかというハードルがあります。日本と違い判例が少ないことから、担当弁護士の力量も見定めなければなりません。

弊社内にはベトナム人弁護士はおりますが、訴訟の代理人にはなれません(法人にかかる訴訟や事件では、貴社内の担当者として参加できるケースはございます)。

日本人弁護士が必要な場合には、弊社が懇意にしている日本の準大手弁護士事務所などとの協業が可能です。

弊社日本は2003年に設立ですが、その前身の2000年頃より興信所としての機能を持ち(探偵業法成立後は探偵業)、全国の興信所と提携し主に訴訟の証拠収集を行っていました。

その中でも、表面化できない上場企業や有名人の不祥事の危機管理広報、反社会勢力から圧力がかかり横領背任が生じるケースの証拠収集、独立行政法人など利権組織での不正証拠収集、金融機関の新規口座与信(B判定)、企業管理者の身元や素行の調査など、数多くの口外できないハードな案件も処理しました。個人案件ですが、悪質なストーカー案件を解決し、警察に表彰された案件もあります。

2010年に子会社化し2012年に売却しましたが、ベトナムの偽造権利書による詐欺犯の身元を追ったケース、ベトナムの資産所有に名義貸しを行いそのまま私物化されたケースのほか、貿易取引先の活動実態調査なども請け負いました。

弊社代表者は、1990年代後半にコンテンツビジネスの契約に多く携わり、フランチャイズビジネスの管理やインターネットを利用した輸入代行(インターネット黎明期)、サービサー関連業務やM&A業務を通じて法律を学び、2000年代前半には商工会のビジネス実務法務検定1級、千葉商科大学大学院の信用リスクマネジメントを学ぶと同時に、関西の大手興信所で探偵資格(民間)を取得し、その後、後進に譲るまで、狭い興信所業界では名を馳せておりました。