知的財産法上の工業所有権の一つに工業意匠権があります。ベトナム国は、2019年10月1日、工業意匠権についてハーグ協定に加盟し、2020年1月1日より、ベトナムにおいて全世界約70か国に通用する工業意匠権の登録を行うことができるようになりました。同時に、他国で登録した意匠権がベトナムにも適用されることになりました。
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意匠権とは何か
知的財産法(2009年改正法)には以下のように定められています。
工業意匠とは,形状,線,寸法,色彩,又はそれらの組合せにより表現された製品の外観である。
一般的に、製品のデザイン性についてをいい、コピー商品、類似商品、模倣デザインを防ぐ目的とされます。
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従来との違い
これまで、ハーグ協定に加盟していない国については、その国ごとに意匠権の登録を行わねばなりませんでしたが、今後はベトナム国での登録で、約70か国に対して同時に登録したこととなります。つまり、日本で登録した意匠権もベトナムにおいて効果を有します。
1回の出願で、最大100のデザインを約70か国に対して登録できるようになっています。
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商標権がロゴマークの独占性をもって同一市場における名称やサービスの類似性による誤認を防ぐ目的であり、著作権が文章や画像など表現の独占性をもって文化的な創作性を保護する目的が強いことに対し、意匠権は、有形である製品のデザインの独占性をもって外観の類似性による誤認を防ぐ目的であると言えるでしょう。
今後、製品外観の独自性が競争のファクターとなり、ベトナムの製造業界がより発展していくことが期待されます。