いつもお読みいただきありがとうございます。ベトナムでは、レジデンスカード(仮居住カード)の手続きにおいて、5営業日にわたって、公安当局にパスポート原本を預けねばなりません。
外国人である私たちにとって不都合が生じたりすることはないのか、不安に思う方も少なくないと思います。
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レジデンスカード手続き
今月7月1日に施行された外国人出入国に関する2019年改正法によって、レジデンスカード申請時に必要な書類が以下のように定められています(2014年法の第37条1項)。
- 招聘又は保証する機関、組織、個人からの申請書
- 写真付きレジデンスカード申請書
- パスポート
- 同法第36条に定められたレジデンスカード発給のケースにおける証明書
手続き期間は5営業日とされています。
必要とされるパスポートが原本か認証コピーなどかは定められていません。
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パスポートの重要性
一般的に、外国人にとってパスポートとは、外国生活において様々に必要とされる非常に重要なものです。
外国人出入国に関する2014年法の第44条には、外国人としての責任が次のように表現されています。
「外出時には、パスポートや国際的な移動を認められた書類、またはベトナムでの居住関連書類を所持しなければならず、権限を有する機関の要求があった場合には、提示しなければならない。」
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公安当局へのヒアリング
改めて、公安当局にヒアリングしました。
Q. パスポートは原本でなければならないのか。/ A. 原本でなければならない。
Q. 預けている期間に他所で必要になった場合、どうすればいいのか。/ A. 預かり証を出すので、他所に求められたときは然るべき国家当局に預けていることを証明できる。
Q. 上記について法令での定めはあるのか。/ A. 特にない。
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実際に困るケース
実際に困るケースを想定してみます。
- 病院での提示(コピーで大丈夫)
- 飛行機でのベトナム国内出張(不可)
- 公証を受けるケース(公証人によってはコピーでダメなケースもあり)
- 外国人でないと入れない場所への入退場(ゲームカジノなど)(未詳)
- 公安当局に紛失された場合、破損された場合(未詳)
- 個人的なライセンス取得や戸籍関係届出など(未詳、おそらく不可)
おおよそ以上でしょうか。まだ他のシチュエーションもあるかもしれません。
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以上より、パスポート原本をレジデンスカードのために公安当局に預けている期間は、国外出張は当然のこと、飛行機を使う国内出張ができません。
以前、もう3年ほど前ですが、筆者の経験では、公安当局の預かり期間が5営業日目の当日となって、1営業日遅れることとなり、具体的には、月曜日に預けたパスポート原本が金曜日に返却されず翌月曜日になるということで、フライトをキャンセルしなければならない事情が発生し、公安当局に対峙して口論したことがありました。強く要求したので、結果的には同日中に返却されましたが、公安当局には捨て台詞的なことを言われました。ベトナム人は一般的に公安当局と口論するのを嫌がる人が多いように見受けますので、社員に頼む場合などは穏便に進めることとなり、公安当局に言われた通りにするしかないケースも多いでしょう。
したがって、レジデンスカードの期限が近付いたときには、早めに手続きを進めたいものですが、先日、ハノイにて顧客のレジデンスカード更新を行ったときには、7月9日(木)が期限であるレジデンスカードについて6月末に申請したところ受理されず、その後、5営業日前の7月3日(金)にも受理されず、7月6日(月)になってやっと受理されるということがありました。結果は7月10日(金)午前中に出たのですが、手続き代行している側としては冷や冷やしますし、顧客への説明も難しいところです。
いずれにしても、私たち外国人は、常にパスポートのコピー版(認証コピーなど)を携帯していた方がよいと思います。今月7月から外国人出入国にかかる法令が変わり、ビザ・ワークパーミット・レジデンスカードで、従来との変更部分が発生し、且つ新たな政令を待っている部分もあります。こういう時期は、ハノイやホーチミンなど各所にて実務の違いも発生することと思います。ご不明な際やお困りの際はご連絡いただければ幸いです。