2020年7月1日より施行される改正出入国管理法(51/2019/QH14)により、ベトナムに滞在するビザの目的をベトナムに居ながらにして変更することが可能になります。ビザの目的とは、「旅行」「商用」「労働」などで、改正出入国管理法では30種類が規定されています。
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従来規定
現行の出入国管理法(47/2014/QH13)の第7条1項では「ビザの種別はシングル又はマルチとし、その目的変更は不可とする」と定められていました。
したがって、ベトナム滞在中にビザの目的を変更することはできず、ビザの目的を変更する場合には、ベトナムより一度出国し、外国において新たなビザを申請しなければなりませんでした。ただし、実務的には、企業からの招聘状で取得した「商用ビザ」を同じ企業で働く「労働ビザ」に変更する場合は、出国する必要はありませんでした。
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新規定
改正出入国管理法(51/2019/QH14)の第1条2項では、ベトナム滞在中にビザの目的を変更できる場合として、次の各号を規定しました。
a) ベトナムの法律に定められた投資家又は外資企業の代表者であることを証する書面がある場合
b) 招聘者や保証者の父・母・妻・夫又は子供であることを証する書面がある場合
c) ベトナムの機関や組織で仕事を行うために招聘又は保証を受け、労働法の規定に沿って、労働許可書(ワークパーミット)又は労働許可書の免除確認書がある場合
d) 電子ビザで入国し、労働法の規定に沿って、労働許可書(ワークパーミット)又は労働許可書の免除確認書がある場合
電子ビザは、30日有効なシングルビザで、2017年より試験的に運用されてきましたが、改正出入国管理法によって本格的な運用として規定されています。
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現在、弊社では、外国投資家(親会社)がベトナムに子会社を設立するケースで、子会社の法定代表者又は設立責任者が設立前よりベトナムに入国する際、ビザの目的は何が適切であるかについて、当局と公式対話を行っています。
- 旅行ビザ(DL)である場合、子会社設立後、ベトナムより出国せずに、商用ビザ(DN)や労働ビザ(LD)に変更することは可能か。又はレジデンスカードを取得できるか。
- 他社の招聘による商用ビザ(DN)である場合、ベトナムより出国せずに、設立された子会社の商用ビザ(DN)や労働ビザ(LD)に変更することは可能か。又はレジデンスカードを取得できるか。
来週には結果が出ますので、なるべく早く続報をお知らせいたします。
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(2020年12月追記)
上記について、その後の追記を失念しておりました。2つのケースに分けて説明します。
【既にベトナム法人がある場合】
- ベトナム法人の招聘により、ビザDN1又はDN2にて入国します。又は個人で業務目的の電子ビザ(EV)も可です。その後は、出国することはなく、ワークパーミット又はワークパーミット免除を取得し、最後に、労働ビザ(LD1又はLD2)を取得します。
【ベトナム法人を設立中でありその前に入国する場合】
- 他社の招聘により、ビザDN1又はDN2にて入国します。個人で業務目的の電子ビザ(EV)も可です。その後は、前者の場合には従来通り出国が必要ですが(最低5営業日)、後者の場合には出国は不要です。後は、ワークパーミット又はワークパーミット免除を取得し、最後に、労働ビザ(LD1又はLD2)を取得します。
これらより、電子ビザは便利なのですが、電子ビザは期間が30日で、Covid-19により停止が続いています。