弊社074号レターにてベトナム国外で物流が完結する取引の付加価値税について述べましたが、今回は、ベトナム国外で「契約満了(商品売買や役務提供の満了)」となる場合の外国契約者税の有無について紹介します。
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事例
ベトナムに拠点を持つA社は、ベトナムに拠点を持たない韓国のB社と以下について契約を締結した。
1、韓国領土内で受けるB社のサービス契約
2、B社が提供する韓国からベトナムへの国際物流・受領サービス
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ベトナムで納税義務が発生する外国組織または個人の対象定義(財務省通達103/2014/TT-BTCの第1条1項)
恒久的施設をベトナムに有する外国組織または有さない外国組織、ベトナムに居住している自営外国人または居住していない自営外国人(以下「外国請負者」又は「外国準請負者」という)であり、外国請負者とベトナム組織または個人、または外国請負者と外国準請負者における契約書、合意書、或いは誓約書に基づいて、請負契約の業務を一部履行し、ベトナムで活動または所得を得る者。
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ベトナムで納税義務が発生する外国組織または個人の対象外定義(財務省通達103/2014/TT-BTCの第2条3項および4項)
ベトナム国外で提供・消費されるサービスによって所得を得る外国の組織または個人。
ベトナムの組織または個人に対して下記のサービスをベトナム国外で提供する外国の組織または個人。
- 運送手段、設備、機械の修理。部品や付属品の有無に拠らない。
- 広告・マーケティング。
- 仲介(国外への商品販売やサービス提供)。
- トレーニング。
- 遠隔通信サービス。
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付加価値税の課税取引に関する特定のケース(財務省通達103/2014/TT-BTCの第12条1項)
- b5) ベトナムから国外への国際物流・受領サービス(発送者であるか受領支払者であるかを問わない)である場合、付加価値税の課税対象売上は外国請負者の全ての売上であるが、国際輸送手段(空運、海運)への費用は含まない。
- b6) ベトナムから国外への国際配達サービス(発送者であるか受領支払者であるかを問わない)である場合、付加価値税の課税対象売上は外国請負者の全ての売上である。
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法人税の課税取引に関する特定のケース(財務省通達103/2014/TT-BTCの第13条1項)
- b7) ベトナムから国外への国際物流・受領サービス(発送者であるか受領支払者であるかを問わない)である場合、法人税の課税対象売上は外国請負者の全ての売上であるが、国際輸送手段(空運、海運)への費用は含まない。
- b8) ベトナムから国外への国際配達サービス(発送者であるか受領支払者であるかを問わない)である場合、法人税の課税対象売上は外国請負者の全ての売上である。
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結論
以上より、冒頭の2種類の契約書は外国契約者税の対象とはならない。
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財務省通達103/2014には、外国契約者税の様々なケーススタディが書かれています。
ジェトロに日本語版がアップされていますので、以下のリンクにてシェアいたします。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/vn/business/pdf/VN_20140806.pdf