付加価値税の対象には、課税取引と非課税取引があります。今回は、課税取引において税率0%が適用されるケースを取り上げます。物流がベトナム国外において完結する取引となります。
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付加価値税法上の課税対象
付加価値税の課税対象は、ベトナムにおける事業又は消費にかかる商品やサービスであり、組織、個人共に、外国で購入した商品やサービスを含みます。但し、付加価値税の非課税対象と定められたものを除きます(財務省通達219/2013/TT-BTCの第2条)。
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付加価値税法上の税率0%適用(財務省通達219/2013/TT-BTCの第9条)
0%税率は次のケースに適用されます。
- 輸出商品及びサービス
- 外国や保税区における工事や設置活動
- 国際運送
- 輸出における付加価値税の非課税対象となる商品やサービス(但し、0%税率が適用されないケースと定められたものを除く)
輸出商品及びサービスとは、次のように定められています。
- 外国における組織や個人に販売、提供されるものであり、ベトナム国外において消費されるもの
- 保税区における組織や個人に販売、提供されるもの
- 法に定められた外国顧客に対して提供されるサービス
さらに、輸出商品とは、次のように定められています。
- 輸出委託を含む国外への輸出商品
- 政府首相の決定による保税区や免税ショップへの販売商品
- 商品の引き渡し及び受領がベトナム国外である販売商品
- 外国の乗り物、設備、機械をケア・メンテナンスするために使用され、ベトナム国外で消費される部品や付属品
輸出商品に対する税率0%適用の条件は、次のように定められています。
- 販売契約書、輸出商品加工契約書、又は輸出委託契約書がある。
- 輸出商品への銀行決済証憑その他法に定められた証憑がある。
- 定められた通りの税関手続きを行っている。
- 但し、商品の引き渡し及び受領がベトナム国外である販売商品については、販売主は、ベトナム国外での引き渡し及び受領の証明書を有さねばならない。例えば、外国の仕入れ先との契約書・外国の販売先との契約書、国際通例に準じた商業インボイス・船荷証券・パッキングリスト・原産地証明など、外国の仕入れ先に対して銀行決済を行った証憑・外国の販売先より銀行決済を受領した証憑。
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以上より、ベトナム法人がベトナム国外で引き渡しを行うような取引は、付加価値税法上の課税取引となりますが、税率0%の適用となります。課税取引ですので、申告は必要となり、上記のような証憑を揃えておく必要があります。
今回のケースは、その目的は別として、日本側親会社の取引をベトナム法人に付け替えることができると解釈ができるため、知っておいて損はないと思います。