2019年3月以降に、新規法人設立登記の際や既存法人修正登記の際に、企業登録証明書(ERC)準備書面でチーフアカウンタント(CA:会計主任者)の記載を求められ、CAが必要とされるタイミング・ケースではないのに・・・ということがあります(設立前なのですから、まだ誰も雇用していないのです)。同様に、新規法人設立が終わった後の銀行口座開設の際にもCA記載を求められるかもしれません。
現行法令(2019年1月以降)では、新規法人設立のケースにおいてその規模が零細企業に該当すればCAを準備する必要はなく、既存法人であっても零細企業に該当すればCAを準備する必要はありません。会計業務担当者の指定で事足ります(それでも、設立前や口座開設前ではそのような人材もいないはずですが)。
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チーフアカウンタント(CA)を準備しなければならないタイミング・ケース
- 条件1:会計年度が2期目に入り、CAがいない又は初期に指定した会計業務担当者の業務が12か月を経過した場合。
- 条件2:従業員が10名を超え、且つ(1)売上又は借入資本が30億ドンを超える農林水産業・工業・建設業、又は(2)売上が100億ドンを超える又は借入資本が30億ドンを超える流通業・サービス業の場合。
これらの条件は、政令174/2016/ND-CPの第20条を原則とし、条件2については、中小企業支援法(04/2017/QH14)及び政令39/2018/ND-CPにより定義される「零細企業」の規模を超えるケースとなります。その中で「従業員」とは社会保険の対象者を意味し、従業員数は会計年度を通した月平均の人数で確定されます。
なお、中小企業支援法において、中小企業及び零細企業は、農業・林業・水産業・工業・建設業・流通業・サービス業の7業種によって区分されるとあります。
CAとは、有資格者です。CA人材の準備については、正社員である必要はなく、準雇用(非正規社員)や派遣サービスによる名義借りでも大丈夫です。
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新規法人設立のERC準備書面及び銀行口座開設書類
- 「会計業務担当者」は、法律上の定義によれば、CAと同等の適格性が要求され、該当の資格も必要とされます(政令174/2016/ND-CPの第21条1項)。
- しかし、ERC手続き時の実務上では、法定代表者や会長・社長と重複していたり、その縁戚者であることが明らかである場合を除き、誰の名前を記載しても処理されるでしょう。
- 銀行口座開設時については、旧法令(23/2014/TT-NHNN)によってCA又は会計業務担当者の署名登録が必要とされていました。現行法令(02/2019/TT-NHNN)の第1条4項ではその必要性がなくなっていますが、付録の書類フォームにはCA又は会計業務担当者の情報を記載する欄があり、従来同様に要求されるケースが多くなっています。
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チーフアカウンタント(CA)の資格は、比較的多くのベトナム人が持っています。日本語を使える人は稀ですが、英語を使える人は非常に多く、若い方であれば、給与も高くありません。ベトナム人の国民性とも思いますが、会計方面は、真面目で信頼できる人が多いです。もちろん、税務も含めて貴社事業における「実践」にて勉強をしていってもらう必要はありますが、ジョブホッピングをする人は(他の専門職に比べて)少ないでしょう。