財務会計と管理会計という言葉をご存知でしょうか。
財務会計とは外部への報告を目的としてルールを守ることを重視しますが、管理会計とは内部への報告を目的にします。
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現地法人社長の役割
財務会計では、例えば、チーフアカウンタントが簿記や経理のマニュアル的な法令を日々チェックしながらデータを入力し、ソフトウェアを使って会計書類を作成していきます。
- 現地法人社長としては、そのワークフローを管理しなければなりませんので、時に専門的な部分にも関心を持っていただく必要があるでしょう。
一方の管理会計では、(1)計画(予算を立てること)、(2)区分(002号レターに書いたように「業種」別にすること)、(3)比較(予算と実績を比べること)のようなフローになります。
- 現地法人設立の際、資本金の計算を行い、中期での利益計画を立てたと思います。計画通りに利益が出ず、資金が不足し、増資や親子ローンの申請を行うケースも多いでしょう。このあたりの業務が、管理会計の第一歩です。会計の目的が内部利用目的だからです。
- したがって、チーフアカウンタントや会計会社の仕事というよりは、現地法人社長の仕事ではないでしょうか。ただ、「現状」が把握できなければ業務遂行できませんので、現状把握していく必要があります。
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管理会計の実践
上記の「計画・区分・比較」のために、どのような情報が必要か考えてみてください。
- キャッシュフローを記録した出納帳であるのか
- 業種ごとに収益・費用・資産を整理したものであるのか
- その中で棚卸資産や売掛金や買掛金はどのようにするのが自身にとって分かりやすいか・管理しやすいか
- 減価償却や引当金などは考慮すべきなのか、それともこれらをまとめた資金繰り表がいいのか。
内部利用目的ですから、ルールは気にしないでいいと思います。
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一般論として、チーフアカウンタントは、経営者目線については、定期的にコミュニケーションしていかないと覚えていきません(日本人経理の方でも同じだと思います)。トップの方の事業に対する考え方をきちんと伝え、それに必要な情報をきちんとまとめてもらいたいということを伝える必要があるのです。いいアカウンタントは、もちろんそれ(経営者がきちんと伝えてくれること)を望んでいます。
その後、それらをどうまとめていくか、できればグラフや図なども用いてわかりやすくしたい、ということであれば、弊社でもお手伝い可能です。管理会計とは、とどのつまり、読み手にとってわかりやすく表現し、事業を管理していく基礎にすることだと考えます。
財務会計は過去情報の整理であり、管理会計は過去と未来の情報の比較です。企業会計の目指すべきところは、コーポレートファイナンスと呼ばれる「未来予測から現在の価値や課題の抽出」です。ここが明確な企業は、M&Aにおける財務デューデリジェンスやバリュエーション(価値評価)でも、良い結果に繋がります。