現行法である2014年企業法では、新設法人の資本(定款資本)は、現金出資・現物出資に拠らず、ERC(企業登録証明書)が発行されてから90日以内に全て払い込み済みとしなければなりません。一名有限責任会社、二名以上有限責任会社、株式会社のいずれにおいても同じ規定です(企業法第48条、74条、112条)。
では、90日以内に払い込みできなかった場合、そのまま放置するとどうなるのでしょうか。
以下、ホーチミン市計画投資局での事例を共有します。
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新設法人の活動を行う意思がある場合
払い込み可能な定款資本額に変更しなければなりません。
- 新設法人及び出資者は、計画投資局に対して減資申請を行います。
- 当局は行政違反の罰則を明確にするため、監査当局に本件を転送します。
- その後、当局により投資プロジェクトの計画見直しが行われた上で減資申請が受理され、定められた期間内に全て払い込みを行います。受理されずにIRC(投資登録証明書)及びERC(企業登録証明書)が回収される場合もあります。
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新設法人の活動を取りやめる場合
すなわち、定款資本を一切払い込みしない場合です。
この場合には、企業解散(清算)の手続きを行います。
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90日規定は、2014年企業法によって定められたもので、以前の法律より厳しくなりました。以前の法律では、延長申請を行うことによって最大で2年間の払い込み猶予が認められるケースもありました。したがって、現行法には定められていないものの、90日以内に十分に払い込みできない場合には、陳述書を提出することによって猶予を得られる可能性もあると考えます。
なお、資本形態には様々な形式があり、移転技術のような無形資産でも可能です。詳しくは別の機会に紹介しますが、移転技術には登録義務があり、登録主体は新設法人になります。登録を終えれば、資本払い込みが完了したことになります。これも同様に90日規定が適用されます。