駐在員事務所の代表が変わるとき、商工局と手続きを行いますが、思いのほか、手続きに時間を要したことはありませんか。
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駐在員事務所代表の変更時の原則
政令07/2016/ND-CPの第16条1項(b)号では、次の書類の準備が必要とされています。
- 外国法人が発行した駐在員事務所の新代表者への任命書
- 新代表者のパスポート写し
- 駐在員事務所の旧代表者の交代時点までの個人所得税納付義務が完了していることの証憑
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実務の現状
上記3番目の「個人所得税納付義務が完了」という部分が、省市によって又は担当者によって解釈が異なるのが現状です。
- 1つは、所得税申告及び納付の証憑で足りるケースです。
- もう1つは、税務局より「所得税が完納したことについての確認通知書」を得なければならないケースです。
後者は、いわゆる税務調査や法人閉鎖の場合と同じで、税務局のいかなる質問や要望にも一つ一つ回答せねばならず、帰任者が帰任日において全世界所得申告義務者(居住者)である場合は、日本で取得できない資料の要求やそれに対する説明などを行うこともあり、時間を要します。
これについて、ホーチミン市商工局が弊社あてに出した公文書では、以下の法令を根拠としていました。
税管理法(76/2006/QH11)の第5条7項(税管理法は2020年7月より新法が施行されます)
確定申告とは、法令に基づき、課税年度、又は課税年度の初めより課税義務の生じる活動の終了時までの期間、又は課税義務が生じる活動の開始時より終了時までの期間の納税額の確定をいう。
税管理法(76/2006/QH11)の第32条5項
活動や契約の終了、企業の所有や構成の変更より45日以内に申告を行わねばならない。
弊社は、商工局の(担当者の)解釈の誤りだと考え、その後、交渉を行い、速やかに解決される運びになりました(計画投資局や商工局の職員には、会計や税務について誤った解釈をしている方が時々いて、それによって手続きがスムーズに行かないケースがあります ←しかたないことですが)。
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行政当局や政府当局に慣れたベトナム人コンサルタントでも、時に当局の職員の(不合理な言い分の)言いなりになってしまい、要求されるがままに顧客に対して書類などを要求しようとするケース等があります。行政当局や政府当局が要求することですから、なかなか声を通しにくいのですが、それでも不合理なケースではその原因に向き合い、しっかり対処していくことが必要となります。
なお、一般論として、帰任する方から新任の方への(諸々についての)委任状を取得しておくことは大事なことでしょう。