以前の弊社ホームページにも記載しておりましたが、ベトナムの労働許可書(ワークパーミット)の免除要件を整理します。
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労働法におけるワークパーミット免除対象(2012年労働法第172条、2019年労働法第154条)
- 有限責任会社の出資者または所有者
- 株式会社の取締役会の構成員(新法では、取締役会会長という語句が加わっています)
- 国際組織、非政府組織の在ベトナムの駐在員事務所、プロジェクトの代表者(新法では、活動責任者という語句が加わっています)
- 販売活動のためにベトナムに3か月未満で滞在する者
- 生産経営に影響を与える又は影響を与える可能性のある事故や複雑な技術上の不測の事態が生じ、ベトナム人専門家やベトナム滞在中の外国人専門家で処理できない場合、これらを処理するためにベトナムに3か月未満で滞在する者
- 弁護士法の規定に基づいて、ベトナムで弁護士業の許可書の発給を受けた外国人弁護士
- ベトナム国が加盟した国際条約の規定に基づく者
- ベトナムで就学中の生徒・学生がベトナムで就労する場合。但し、雇用者は労働に関する省レベルの国家管轄機関に7日前までに通知しなければならない(当該規定は、新法では削除されています)
- ベトナム人と婚姻関係にありベトナムに居住している者(新法での新規定です)
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その他法令によるワークパーミット免除対象(政令11/2016/ND-CP 第7条2項、通達35/2016/TT-BCT、政令140/2018/ND-CP 第11条2項)
- WTOとベトナムの間で合意されたサービス業に係る特定コミットメント「経営サービス、通信サービス、建設・建設関連サービス、流通サービス、教育サービス、環境サービス、金融サービス、医療・社会サービス、観光サービス、文化・娯楽・スポーツサービス、運輸サービス」の11分野における企業内人事異動による外国人労働者。
- ベトナム及び外国の権限機関によって締結されたODAに関する国際条約の規定又は合意内容に基づいたODAプログラム・プロジェクトのための専門的及び技術的なコンサルティングサービスの提供、プログラム・プロジェクトの研究、策定、審査、評価、管理、実施を行う外国人労働者。
- 外務省が法規に基づいて発行したベトナムにおけるメディア・プレス許可書を有する外国人労働者。
- 外国機関や組織により、ベトナムにおける外国の外務代表機関や国際組織が管理するインターナショナルスクールにて教授・研究するために派遣された外国人労働者。又は、ベトナム教育訓練省によりベトナムにおける教育・訓練機関で教授・研究する目的を認められた外国人労働者。
- ベトナムにおける外国の外務代表機関や国際組織に承認されたボランティア。
- 専門家、管理者、執行役員、技術労働者の職位としてベトナムに従事し、勤務期間が30日以下及び年間の勤務期間の合計が90日以下の外国人労働者。
- 中央レベル又は省レベルの機関・組織が法律に基づいて締結した国際合意によってベトナムで就労する外国人労働者。
- ベトナムにおける機関、組織、企業の実習に関して合意を有する外国における学校・教育機関にて勉強している生徒、学生。
- ベトナムにおける外国の代表機関で就労しているスタッフの親族(外務省の許可取得が必要)。但し、ベトナム国が加盟した国際条約に別途定めがある場合はこの限りではない。
- 政府機関、政治組織、政治社会組織に就労するための公用パスポートを有する外国人労働者。
- 首相が労働傷病兵社会省の要請によって決定するその他の外国人労働者。
- 商業拠点を設立するための責任者。
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実務上のポイント
- ワークパーミット免除の申請書類は、ワークパーミット申請より少なく、準備にそれほど時間はかからないのですが、ハノイ市、ホーチミン市など、省市によっては(又は当局の担当者によっては)ワークパーミット申請に必要とされる書類まで要求されるケースもあります。事前に確認を取りながら見通しを立てたほうがいいでしょう。
- 本社からの赴任の方は、「企業内人事異動」が便利です。社会保険及び健康保険の適用外となります。
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Covid-19により、ワークパーミット申請や免除申請に支障が出ていましたが、新規発給以外は、問題なく発給されるようです。新規発給についても、対象者が既にベトナムに入国して日が経っており、現状として申請が不可避である場合には受理する事例もあるようです。
このあたりは、ケースバイケースで対応するベトナム当局の良いところかもしれません。