今回は、建設業の適格性を証明する建設活動能力証明書(建設業ライセンス)について、概要をご紹介します。
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建設業ライセンスの原則
- 法人に対して発給されるライセンス(適格性証明書)と、その際の人的要件となる個人に対して発給されるライセンス(活動資格)があります。共に、レベルI、II、IIIに分かれています。
- ベトナム国の工事は、標準分類としてレベルI、II、III、IVに分かれています(建設省通達03/2016/TT-BXDの付属書及び07/2019/TT-BXD)。工事の種類や規模による分類(大分類5分野及び中分類28分野)と構造物の種類や規模による分類(14分野)となっています。また、グループA、B、Cの3種類のプロジェクト種別があります(政令59/2015/ND-CP)。
- レベルIの工事を元請けとして請け負う場合には建設業ライセンスのレベルIが必要となります。レベルIの工事を下請けとして請け負う場合には、建設業ライセンスのレベルIIが必要となります(政令59/2015/ND-CP、42/2017/ND-CP、100/2018/ND-CP)。レベルIVは、建設業ライセンスは不要です(2018年11月以降はこれを明記した法令がないようです)。
- 設計や調達のみの受注でも建設業ライセンスの対象となるほか、実務上は、発注者の入札規定により個別に必要とされるケースがありますので、これに対応します。
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法人の建設業ライセンス
- 最長で10年となっており、法人設立時の投資ライセンス(IRC)や企業登録証明書(ERC)に該当業種を登録したあと、別途取得するライセンスとなります。
- 資本金要件はありませんが、個人の建設活動資格を有する者にかかる人的要件や法人の実績要件があります(2018年11月以前は財務状況などの要件がありました)。
- 現行法令(2018年9月以降)において建設業ライセンスは6種類があり、それぞれについてレベルIからIIIまでの要件があります(調査、計画策定、設計及び設計監理、プロジェクト管理、工事、管理)。評価、投資費用管理の分野では、建設業ライセンスは必要ないとされ、ただし、要件を満たす必要があります。
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個人の建設活動資格
- 最長で5年となっており、レベルIII以外は、大卒以上の学歴が求められます。実務経験としてレベルIは7年、レベルIIは4年、レベルIIIは2年(大卒者でない場合には3年)となっています。
- 外国人が保有する建築士資格をベトナムの建設活動資格へ移行することも可能です。ただし、労働許可書(ワークパーミット)やレジデンスカードの期間に依拠します。
- 現行法令において、個人の活動資格は8種類となっています。それぞれについてレベルIからIIIまでの要件があります(工事監理、計画策定、設計、施工管理、評価、労働安全、価格決定、プロジェクト管理)。また、資格ではなく職位に対して条件が揃えられているケースもあります。
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受注案件の中には、法令に定められた分類であるレベルI、II、IIIに該当するかわからず、適切な建設業ライセンス又は個人の活動資格を有する従業者の確保などに迷うケースもあると思います。また、入札規定や元請の社内規定によっては、法令より厳しい要件を求めてくるケースもあるでしょう。
レベルIIIの建設業ライセンスは、人材を確保し業務についての合意形成ができればよいので、早めに準備されることをお勧めします。