個人が確定申告する際、複数の職場との契約がある場合や課税期間に職場が変わった場合には、その全ての職場より源泉徴収票が必要となります。源泉徴収票がない場合、既に支払った税額を控除することができません。これについて、雇用者の義務を紹介します。
==
法令(税務省通達111/2013/TT-BTCの第25条2項)
a) 所得を支払う組織や個人は、源泉徴収を行い、当該個人の要求に沿って源泉徴収票を発行しなければならない。当該個人が確定申告を委任している場合には、源泉徴収票を発行しない。
b) 源泉徴収票の発行は、次のような形式となる。
b1) 労働契約書を締結していない場合、または、3か月未満の期間に対する労働契約書を締結した場合、(申告義務のある)個人は、所得支払者に対して、次のいずれも要求することができる。(1) 課税期間において所得が発生するたびに源泉徴収票を発行すること、(2) 課税期間において発生した複数の所得を一度の源泉徴収票にまとめて発行すること。
b2) 3か月以上の期間に対する労働契約書を締結した場合、所得支払者である組織や個人は、課税期間に対して一度のみの源泉徴収票を発行する。
==
実務上の留意点
- 個人所得税の課税期間は、1月から12月です。社員の労働契約書が課税期間通りになることは稀で、退職は一般的に課税期間の途中に発生します。したがって、雇用者は全ての退職社員に対して源泉徴収票発行の義務があると考えるべきでしょう。
- しかしながら、上記法令に「個人の要求に従って」とあるように、退職社員がコンタクトをしてきてから初めて源泉徴収票の発行を行うケースが多くなっています。
- これで問題はないのですが、退職社員によっては、電話でコンタクトしてきたり、連絡が取りやすい社員に一方的にメールを送ってきたり、確定申告の期限である3月31日の直前にコンタクトしてきたり・・・様々です。日本人が代表者として署名をしなければならない社内オペレーションになっている場合、少々面倒に感じてしまうこともあるでしょう。
- したがって、いつまでに退職社員の源泉徴収票を準備しておくか社内オペレーションを定めておき、署名権者が署名を行った後は、全ての退職社員に平等に送付するか、またはコンタクトのあった退職社員のみに送付するか、会計社員に任せるといった形がお勧めです。
===================
退職社員に対する実務は、源泉徴収票以外では、失業保険や社会保険の手続きなどがあります。
今回ご紹介した源泉徴収票は、たとえ、労働法の第37条に反する「不法な労働契約書の一方的解除」を行った社員に対しても、雇用者の義務は変わりませんので、ご注意ください。