いつもお読みいただきありがとうございます。弊社112号レターにて過払支払利子税制について紹介させていただきました。今回は、過少資本税制という制度をご紹介します。資本に対する配当や負債に対する利息における課税上の違いを利用した租税回避を規制するための税制と言われています。
例えば、外国資本である私たちが、資本金200万ドン(約1万円)でベトナムに会社を設立し、借入金10億ドン(約500万円)で会社を運営します、ということは認められないということです(ベトナム国の資本を少なくすることによる租税回避)。
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ベトナムの過少資本税制の現状
弊社理解では、現在、ベトナムでは過少資本税制は明確に定められていませんが、実務上にて配慮すべきケースが多々あります。
- 一般的に、過少資本税制は、資本と負債のバランスについて定められ、例えば、法人税法改正草案では、資本額の倍数になるような負債に対する支払利息を損金不算入とし、製造業であれば5倍、金融業であれば12倍、その他の場合には4倍などと定められています(草案ですので施行されていません)。
- 上記した通り、新しい現地法人を設立する際も、資本が少なすぎて借入に頼るような事業計画においては、計画投資局より資本の脆弱性を指摘されます。既にベトナムで活動されている方であればご存知のことと思います。
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支払利息0%(無利息)は認められない
過少資本税制の論点と呼べるかはわかりませんが、無利息は、次の理由によって認められていません。
- 親子取引については、親子ローンを含め、関連者間取引として、市場に見合った取引を形成しなければなりませんので、適正な利息が求められます(政令20/2017/ND-CPなど)。
- 関連者間取引でない場合は、こちらも、2019年税管理法(現行法)第50条及び2006年税管理法(旧法)第37条の双方において、市場に見合った取引を形成していない場合として推定課税の対象とされています。
- 上記については、以前より公文書などで散見され、直近ではバクニン省税務局より8月3日付けの公文書2398号にも記載されています。
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ベトナム子会社の資金繰りにおいて、親会社からの増資、貸付、立替などの意思決定や稟議に迷われるケースがあると思います。
とりいそぎの数か月は「立替」で処理し、その後、正式に短期ローン契約を結び、その1年後までに、(1)短期ローン契約を長期ローン契約に変更し中央銀行へ登録する、又は(2)DES(Debt Equity Swap)で資本に振り替える、というプランを立てるケースもあるでしょう。
ただし、今回ご紹介した資本と負債にかかる税制を始め、できることとできないことがございますので、検討段階でお問い合わせいただければ幸いです。