銀行のATMからの現金振込は、現在の日本では制限があります。以前は(かなり昔ですが)金額を問わず可能でした。そして、振込名義人も個別指定が可能でした。
ベトナムでは、ATMからの現金振込はできませんが、窓口での現金振込ができます。
ベトナム語では、現金振込とは言わず、「相手先の口座に現金入金をする」という言い方をしています。
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法人の支払いにかかる原則
- ベトナムでは、2,000万ドン以上の支払いは、法人の銀行口座より振込処理しなければ、当該支出は付加価値税及び法人税の控除対象とはなりません。
- 一方で、2,000万ドン未満であれば現金処理が可能ですが、税務処理のためには、適切なインボイスが必要になります。相手先が付加価値税の課税業者であれば、付加価値税インボイスです。
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法人の小口現金より銀行窓口において取引先等への支払いを行うケース
いくつかのケースがありますので、以下に例示します。
- 窓口での現金振込(相手先の口座への現金入金)。窓口に行った個人の名前で取引先等の口座に入金されることになります。したがって、2,000万ドン以上のケースでは税務上否認されるでしょう。
- 社員が現金を窓口持参して法人口座に入金してから、法人口座のインターネットバンキングによる振込。社員の現金持参は、上記1番の「相手先の口座への現金入金」として取り扱われます。
- 社員が現金を窓口持参し、その社員の個人口座に入金してからその個人口座より取引先等の口座への振込。これは、法人よりその社員に対して支払いに関する委任状を備え付ければ可能なスキームです。
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ベトナムのATMは、長年、入金機能がありませんでしたが、個人口座に対しては入金機能を有する銀行も出てきています。法人口座については、このような機能は用意されていませんが、今後どうなるのでしょうか。
インターネットバンキングは、以前はToken(トークン)の使用が主流でしたが、2019年からはSmart OTP(スマートフォン等のアプリケーション)に移行しているようです。
現金による収益や日常的な小口現金がある事業においては、銀行窓口に行かなければならないケースも多いでしょう。支店数が多い銀行はローカル銀行に限られますので、日本語が使える場面はほとんどないと思います。さらには銀行窓口の方が説明を間違えるケースもありますので、現金の取り扱いと税務上のリスクについては、前もって専門家にも確認するようにしてください。