いつもお読みいただきありがとうございます。今回は、固定資産にかかる減価償却と繰延償却について基本的な部分をご紹介します。
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減価償却の方法
以下の3種類があり、どの方法を使うか前もって登録する必要があります。償却中に方法を変更したい場合には、資産につき一度だけ変更が認められます。
1、定額法
毎年一定の金額で償却する方法です。耐用年数より2倍以上の速度で償却を行う場合、2倍を超えた部分については損金不算入となります。
2、定率法(償却率に準じた調整法)
この方法を用いるには、対象資産が中古ではなく新規投資資産であること、測定や試験に使用する機械設備であること、などの条件があります。
3、生産高比例法(生産数量に応じた償却)
この方法を用いるには、生産活動に直接関連する機械設備であること、当該資産により産出される生産数量が確定できること、当該資産の稼働能力100%に対して月間平均稼働率が下回ってはならないこと、などの条件があります。
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固定資産としての条件
以下の条件を満たした場合、固定資産として計上することができます。
- 資産使用による将来的な経済的収益の確実性
- 1年以上の使用期間
- 信頼性のある計算手法にて原価が3,000万ドン以上であること
上記の条件を満たさない資産は、使用期間が1年未満であれば一括処理を行い、使用期間が1年以上であれば3年以内の繰延償却とします。
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耐用年数
9種類のカテゴリーに分けられ、最短年数と最長年数が定められています。詳細は割愛しますが、凡そ以下の通りです。
- 動力機械・設備:6年~20年
- 業務機械・設備:3年~20年
- 測定・試験の器具:2年~10年
- 運送にかかる設備及び手段:6年~30年
- 管理器具:3年~10年
- 建物・建築物:5年~50年
- 家畜・長期植林地:2年~40年
- 上記以外の有形固定資産:4年~25年
- その他の無形固定資産:2年~20年
上記に該当する複数の固定資産より構成されている場合、減価償却は単体の固定資産ごとに行います。
なお、取得した時点で経過年数のある中古資産については、「取得価格/市場価格」×「耐用年数」にて残耐用年数を計算します。
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減価償却については、該当資産が将来的な利益をもたらすことに直接つながらない物として否認されたり、該当資産の設置時期ではなく使用開始時期に計上していることによって否認されたりする事例を聞きます。
前者の場合は、例えば従業員の士気を高めるためのスペースや機器などが考えられますが、これらが会社に利益をもたらしていることの因果関係を説明できれば問題はありません(税務調査等の担当者によっては、手ごわい性悪説の方もいますが)。後者については、ベトナムでは、たとえ使用前であっても、該当資産が据付・設置されて使用可能な状態が計上時点とされています。