いつもお読みいただきありがとうございます。ベトナムにある自社がEPEである場合、他社EPEが海外に輸出販売する製品について商流に入る方法はあるのでしょうか。簡単ではありますが、以下にまとめてみます。
==
販社(商社)として介在する場合
- EPEにおいて販売事業(Non-EPE事業)を行うことは可能ですので、EPEの製品を買い取り、輸出を行うことを考えるモデルです(EPEにおいて「どのようなNon-EPE事業が可能か」「どのような条件か」については、また別の機会に書かせていただきます)。
- Non-EPE事業ですから、他社EPEとの取引において、通常は、VATと関税を気にしなければなりません。しかし、保税倉庫を利用した取引とすることにより、VATと関税がかからなくなります(2016年関税法の第2条や財務省通達219/2013/TT-BTCの第4条ほか)。条件としては、自社で保税倉庫を借りる必要があります。
- 客先(国外企業)の外国契約者税が発生するでしょう(主に1%)。
==
加工委託を行う場合
- EPEで受託した加工業務(又は製造業務)を他のEPEに再委託したり、移行することは可能ですので、この形態を利用して、国外の客先より自社に対する加工委託契約を締結し、他社EPEとは以下のような取引を組みます。
-
- EPEである自社がEPEである他社に業務委託(加工委託)を行う。
- EPEである自社が加工を終えた後、EPEである他社が行う別の加工業務へ移行する。
- 1の場合は、国外からの原材料、国内からの原材料、共に通関手続きが必要となりますが、他社EPEとの取引における引き渡し又は受け取りにおいては、通関手続きは不要となります(通達38/2015/TT-BTCの第76条3項、通達39/2018/TT-BTCの第1条52項、その他公文書)。
- 2の場合は、国外からの原材料、国内からの原材料、共に通関手続きが必要となるほか、他社EPEとの取引における引き渡しにおいて通関手続きが必要となります(通達38/2015/TT-BTCの第86条、通達39/2018/TT-BTCの第1条58項、その他公文書)。
- 1の場合も2の場合も付加価値税は発生しません。関税についても、輸出用製品については、EPEとしての免除優遇を受けることができます。
- しかし、国内より仕入れた原材料がある場合、その部分について輸出関税が発生しますので注意が必要です。会計上も仕訳を別途にするなど、明確な簿記が必要となります。
===================
今回のテーマは、あくまで、ベトナム国外向け製品の取り扱いについてです。ベトナム国内向けに販売するケースは全く異なり、一般的には独立会計の支店を設立することをお勧めしています。詳しくは、別の機会に書かせていただきます。