ベトナムで所得を得るには、基本的に労働許可書(ワークパーミット)が必要です。ワークパーミット免除については、前回レターで書かせていただきましたので、今回は、ワークパーミットがまだ取得できていない等、ワークパーミットがない状態で対象者のために支出する関連費用の処理についてです。
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ワークパーミットの対象者であり、手続き上、ワークパーミットの発行がされていない者
- この者に対して関連する費用は、全て、法人税法上の損金算入は認められません。付加価値税についても算入できません。
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企業内人事異動の者でワークパーミットがない者
- この者に対して関連する費用は、法人税法上の損金算入は認められます。かつ、付加価値税についても算入できます。但し、ワークパーミット免除の確認書を取り付ける必要があります。
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専門家や管理者など一時的にベトナムに来る出張者や短期滞在者の関連費用
- 国外から来た対象者がベトナム側法人と専門家や管理者として労働契約書を締結し、所得を得る場合、当該対象者にかかる社宅費用は付加価値税の算入対象となりません。
- 一方で、対象者が日本側社員としてベトナム側法人より所得を得ない場合、当該対象者にかかる居宅費用は付加価値税の算入対象となります。ただし、日本側法人とベトナム側法人の間において協定書が存在し「ベトナム側法人が対象者のベトナム国における居場所に関連する費用を全て負担する」旨が明記されていなければなりません。
- 法人税法上は、契約書類、支払証書などの各種の証憑が揃っている必要があります。
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ワークパーミットやビザの取得費用
- 労働契約書等に、雇用者が負担する旨を明記していれば、損金算入が認められます。
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個人所得税法上の論点
- 様々なケースがあり、一概には表現できないため、詳しくは別の機会にまとめたいと思いますが、ワークパーミットやビザの取得費用は課税所得と見なされます。
- 原則として、契約書を締結していない場合や期間が3か月以内である場合(短期滞在者も同様)には、雇用者の源泉徴収義務が発生しません。
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なお、ワークパーミットの対象者であるのに取得していない場合、その者は国外退去となります(2012年労働法第171条2項、2019年労働法第153条2項)。使用者責任もあるので注意が必要です。