いつもお読みいただきありがとうございます。輸入した機械設備の必要がなくなり、再度海外へ戻す場合に、税還付はできるのでしょうか。
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インプット付加価値税の原則
- インプットVATの原則は「対象製品が損失を被った分の税額の補償が受けられずとも、インプットVAT全額の償却が可能になる」というものです。「損失を被った分の税額の補償が受けられない場合」というのは、天災や火災、保険でカバーされていない損失、品質の問題や使用期限切れにかかる廃棄などを意味し、この際、補償が受けられずに損失を被った旨を証する税務上の証憑を保管している必要があります(財務省通達219/2013/TT-BTC)。
この規定は、税務当局が税還付をしない場合の理由として使われています。2020年7月に施行された2019年税管理法では、税還付申請の結果に対する理由の開示が規定されています。
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過払いとなった税金に対して
一般的に、還付請求と相殺請求の2種類の対応が可能になります。相殺請求には、既に確定している未納税額や罰金額などとの相殺と今後発生する税額に対する相殺に細分化されます。
- 2019年税管理法の第60条によれば、還付請求で5営業日以内の対応とされている一方で、同条に定められる税金、延滞金、罰金の処理にかかる査定や手続きは(財務省が)別途定めるとされています。
- その他の現行規定では(財務省通達39/2018/TT-BTC)、付加価値税の過払い税金は、輸入関税があれば同時に処理するよう定められており、付加価値税に関する税還付を含む決定権は、税金の発生した場所を根拠として税関とされています(税務局ではありません)。
これら2つの規定には、矛盾する点もあり、法令と実務に乖離があると言われています。
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今回取り上げた「輸入した機械設備を使用後に海外に戻すようなケース」での税還付や相殺は承認されないケースが多いようです。
現行の2019年税管理法が施行されるまでは、税還付や相殺の否認についての明確な理由が開示されないケースがあり、それが原因の一つであろうと思いますので、今後は、承認事例が多くなることを期待します。