昨今、従業員の福利厚生と帰属意識向上のために生命保険を購入するベトナム企業が増えていると聞きます。これについて、法人税法上や個人所得税税法上、どのような取り扱いになるのでしょうか。
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法人税法上(財務省通達96/2015/TT-BTC)
法人税法上の「費用」は、一般的に、以下の条件を満たす場合に適正と見なされ、控除が可能となります。
- 2,000万ドンを超える場合には、適切なインボイス及び関係証憑に加えて、銀行の振込明細があること。。
- 生命保険費用の場合には、月額1名あたり300万ドンを超えないこと。健康保険、傷害保険その他の民間保険の場合には、課税年度の実質平均給与の1か月分を超えないこと。
- 待遇条件や基準について、次のいずれかにおいて具体的な定めがあること。労働契約書・労働協約(労使協定)・社内又はグループ会社の会計規程・取締役会や社員総会の会長や社長など役職者により(定款通りに)採決された賞与規程。
- 従業員の強制保険(社会保険、健康保険、失業保険)を不足なく納めていること。
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個人所得税法上(財務省通達92/2015/TT-BTC及び25/2018/TT-BTC)
- 積立型生命保険の場合には、従業員の課税所得に10%の控除率にて算入します。
- 健康保険や死亡保険のような非積立の場合には、課税所得へは算入しません。
- 年金保険(民間)については、月額100万ドン未満であれば、全額控除可能となります。雇用者が負担した金額のみならず、従業員が負担した金額があれば、これも含まれます。
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ベトナムの民間保険の種類も年々と増え、加入者も多くなっています。
企業の節税対策や、従業員の賞与や退職のオプションとして、「使い勝手」の向上が期待されます。