いつもお読みいただきありがとうございます。2021年1月に施行される2019年労働法では、労働者代表組織として、労働組合のほかに、企業内労働者組織を定めました。こちらを紹介します。
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サマリー
- 企業内労働者組織は、労働組合同様に、労働者によって自ら設立、加入、活動が行われ、使用者はこれらを妨げることはできません。
- 企業内労働者組織は、国家機関への登録を必要とします。政府規定の構成員人数を必要とし、その中から指導層を構成し、定款を作成しなければならないと規定されていますが、2020年10月時点で細則は発行されていません。
- 企業内労働者組織は、国家労働組合に所属することができます。
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労働者代表組織(労働組合及び企業内労働者組織)の企業に対する権限や役割
従来の労使関係規定に様々な追記がされています。使用者は日常的な対話、意見聴取を行う必要があります。
例えば、
- 使用者が行ってはならないことが具体的に定められ(第175条及び第177条)、労働者代表組織の指導層にある労働者が労働者代表組織の任期中に労働契約期間が満了する場合には、任期満了まで労働契約の期間を延長しなければならなくなっています。
- 労働者代表組織が労働時間内の一定の時間を使用し、活動にあてることが可能になっています。政府は、活動の一部に使用する時間を規定する権限を有しています。使用者側はこれについて合意形成しなければなりません(第176条)。
- 給与規程、賞与規程、人事考課や昇給制度、就業規則に対して、使用者は労働者代表組織の意見聴取をせねばならず、労働者代表組織は、労働者からの委任があれば、使用者とのトラブルの代理人になります(第178条)。
など。
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労働者代表組織における企業内労働者組織は、2019年初めに有効となったCPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)によって認められた労働者の団結権とされています。
ニューエコノミーといわれる現代の若者は、昔のような上位下達の企業風土には向いていません。日本でもそうですから、ベトナムではなおさらです。ベトナム人は、意見を「みなまで」言います。
現在進行形で経済成長しているベトナムで、使用者である日本人が、ベトナム人のこれからの人生を表現し、右肩上がりのような「人生の保証」ないし「希望」を与え続けていくことは至難の業でしょう。
私見ですが、ベトナムだからこそ、労働者代表組織と使用者が対面に立たず、労働者代表組織に労働者の未来図を描いてもらい、それを使用者が支える形で手を取り合う理想像が描けるような気がいたします。