2021年1月より施行される新労働法には、着目すべき点が多数あります。
今回は、雇用形態に関連する部分についてご紹介します。
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現在までの雇用形態例
ベトナム企業の人事労務デューデリジェンスなどを通して、下記のような雇用形態を見てきました。
- 研修契約書
- インターンシップ契約書
- 試用雇用契約書
- 業務委託契約書
- パートタイム契約書
- 短期契約書(プロジェクト型契約書)
- 正規雇用契約書
それぞれ、勤務形態(オフィスワーク、現場ワーク、テレワーク等)が異なったり、労働時間(フレックスや裁量労働制のようなスタイル)が異なったり、バリエーションがあります。
これらについて、以下のような観点よりデューデリジェンスを行ってきました。
- 所得(報酬)の有無、社会保険の適用可否と実務負担、就業規則の対象契約となるか否かなどの一般的な論点
- 労働法に準ずるのか、民法や商法に準ずるのか(雇用とは見なされない場合)
- 機密保持など厳格化する場合には、労働法での賠償義務設定には制限がありますし、背任行為や業務上横領などに至っては、ベトナムでは実質的に損害の回復(の実務)は不可能と思われますので、どのように工夫をしているか
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今後の雇用形態
現行法第3条2項:
雇用者とは、「労働契約」に基づいて被雇用者を雇用し使用する企業・機関・組織・組合・自営業者・個人雇用主をいう。個人の場合は、十分な民事行為能力を有していなければならない。
新法第3条2項:
雇用者とは、「合意」に基づいて被雇用者を雇用し使用する企業・機関・組織・組合・自営業者・個人雇用主をいう。個人の場合は、十分な民事行為能力を有していなければならない。
これは、合意に基づくいかなる契約も労働法の対象になると解釈できるのではないでしょうか。
そうなると、社会保険の対象範囲が広がります。複数の勤務先を持つ個人との契約においては実務も煩雑になるでしょう。また、専門的な能力を有する個人と業務委託契約を締結する際など、労働法の範囲でしか責任を追及できないとなると、より工夫をしなければなりません。
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雇用形態を「駆使する」業種の企業においては、今後、備えるべき点が多いように思います。
労働力の豊富さ、その勤勉さ、給与水準が魅力のベトナムだと思いますが、昨今の弊社調べでは、様々な業種における労働派遣需要が拡大しているようです。特に、ブルーカラー需要です。
日本では非正規労働者の問題が表面化していますが、経済成長中で人口のボーナス期にあるベトナムでも、このような問題が徐々に表面化してきているようです。