いつもお読みいただき、ありがとうございます。外国組織または個人がベトナムにてベトナム人を採用する際に当局に手続きを取らねばならないという特殊な法令がございます。ベトナム人でも誤解しそうな内容なのですが、こちらをご紹介させていただきます。
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外国組織または個人がベトナム労働者を採用する際の手順(政令75/2014/ND-CPの第6条)
- ベトナム労働者の使用ニーズがある場合には、外国組織または個人は、ベトナム労働者の雇用管理管轄当局に対してベトナム労働者の雇用要請書を送らねばならない。書面には、職位、人数、技術専門レベル、業務、言語、雇用を要する期間に加え、ベトナム労働者の権利義務のほか、使用者側の権利義務や退職の際の規定などを明記しなければならない。
- 当局は、外国組織または個人からの要請書を受け取った後15営業日以内に、外国組織または個人の要請通りのベトナム労働者を選択採用し、紹介する責任を負う。
- 前項の期間を経てもベトナム労働者の雇用管理管轄当局が、外国組織または個人の要請通りのベトナム人労働者の選択採用、紹介ができなかった場合、外国組織または個人は、ベトナム労働者を直接採用することができる。
- 外国組織または個人は、労働契約書締結後7営業日以内に、締結した労働契約者の複写版を添えてベトナム労働者の雇用管理管轄当局に通知しなければならない。
ここで「外国組織または個人」とは何をいうのでしょうか。
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(本政令における)外国組織または個人の定義(政令75/2014/ND-CPの第2条)
- 外交代表事務所、外国領事機関、国連所属組織・地域組織・準地域組織の代表事務所
- 外国の通信社、新聞、ラジオ、テレビの常駐事務所
- 国際組織、政府間組織、外国政府に属する組織
- ベトナムにおける非政府組織の活動について定めた政令12/2012/ND-CPにおける活動ライセンスを管轄当局より取得している非政府組織
- 利益を得ない経済・商業・金融・銀行・保険・科学技術・文化・教育・医療・外国法諮問の駐在員事務所
以上が外国組織と定義され、外国個人は「上記5種類のいずれかの外国組織にて勤務する個人、またはベトナム当局により居住を許可された者」と定義されています。
なお、政令75/2014/ND-CPは新政令案が出ておりますが、上記の第6条、第2条に変更はないようです。
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罰則規定
2020年4月15日より施行されている政令28/2020/ND-CP(各種の罰則規定)では、外国組織または個人のベトナム労働者の採用に関する罰則を定めています。
- ベトナムの外国組織または個人で、ベトナム労働者を使用したが、ベトナム労働者の雇用管理管轄当局に対して、法規定に基づいた採用使用の状況を知らせなかった場合、100万~300万ドンが課される。
- ベトナムの外国組織または個人で、ベトナム労働者を使用したが、ベトナム労働者の雇用管理管轄当局に対して、法規定に基づいた採用使用の状況を知らせず、締結した労働契約者の複写版も添えなかった場合、500万~1,000万ドンが課される。
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もうお分かりだと思いますが、一般的な外資法人に当てはまる問題ではございません。
しかし、駐在員事務所には当てはまることに注意が必要です。
余談ですが、ベトナム国には良くも悪くも「裁量制」という側面があります。何かについて遅れて手続きを取っても、いきなり罰せられるケースばかりではありません。まずは、積極的に対話してみるといいでしょう。ただ、「袖の下」はもちろん不法行為です。