いつもお読みいただきありがとうございます。今回は、女性スタッフが産休に入る際の雇用者側の各種手続きについてご案内します。
==
社会保険の処理
2014年社会保険法の第34条1項には次のように定められています。
女性社員は、出産前後を含む6か月間の出産休暇を取得することができる。多胎妊娠出産の場合、当該女性は、2人目以降、出産した子1名につき1か月の追加休暇を取得することができる。出産前の休暇期間は2か月を超えてはならない。
雇用者側としては、2017年の社会保険局決定595/QD/BHXHおよび2020年の改正決定505/QD/BHXHに準じて、強制保険(社会保険・健康保険・失業保険)のリスト書式に該当者が産休である旨および産休開始日を明記しなければなりません。その後、オンラインで手続きを行い、7営業日にて処理されます。
※「社会保険局」とは、英名でViet Nam Social Security(VSS)と呼ばれます。独立政府機関ですが、社会保険について労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)の管理対象であり、健康保険について保健省の管理対象であり、各種基金について財務省の管理対象となっています。
==
出産制度を受給できる被雇用者の条件
次のように定められています(2014年社会保険法の第31条)。
出産する女性、代理出産する女性、代理出産を依頼した女性、6か月未満の子を養子縁組した者である場合には、出産又は養子縁組をする12か月以前に最低6か月分の社会保険料を支払っていること。
出産する女性が医療機関の指示により妊娠休暇に入る場合には、12か月以上の社会保険加入期間があれば、出産直前12か月以内に3か月分以上の社会保険料を支払っていればよい。
出産日が月の15日より前であれば出産月は上記の加入期間に算入されませんが、15日以降で同月の社会保険料を支払っている場合には、出産月が上記の加入期間に算入されます。出産日が15日以降で同月の社会保険料を支払っていない場合には、前者同様に出産月は加入期間に算入されません。
なお、上記の条件を満たしているケースで、出産前や養子縁組の前において雇用契約書が終了となった場合でも受給資格を失うことはありません(下記の手続き手順は変わります)。
==
書類および手続きの手順
雇用者は、次の書類を職場復帰後45日以内に受け取り、その後10日以内に当局に届出しなければなりません。
- 出産制度申請リスト
- 出生証明書の公証複写版
- 手術を要した場合には手術証明書または退院確認書(死産などの場合にはその旨がわかる診断書なども該当します)
- 代理出産の場合には、代理出産する女性と代理出産を依頼した女性の間の合意書面
なお、出産制度で受給できる金額は、「産休前6か月における社会保険料を納めた給与額平均のうち100%に値する金額」と定められています(2014年社会保険法の第39条)。
===================
上記は、外国人に対しても該当します。
しかし、社会保険加入の部分がネックとなります。
2018年に経過措置を伴う法令が施行されてより、外国人の社会保険加入問題は、各所における実務上の差異を生んできました。こちらのテーマはまた別の機会にさせていただきます。