ベトナムの業種コード(VSIC)に「8211:事務所総合管理サービス」というものがあります。これは、総務サポートのような業種定義ですが、企業によっては、登記詳細として「商品やサービスの紹介活動」と記載している企業を見かけることがあります。何社も見かけたことがありますので、同じ担当者による登記なのかもしれません。
ここでの「商品やサービスの紹介活動」とは、どのような活動を指すのでしょうか。
他社の商品やサービスについて、メディア、FacebookなどのSNSで紹介する活動は可能なのでしょうか。広告業とはならないのでしょうか。
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広告法における広告の定義(第2条1項)
広告とは、営利目的の製品・商品。サービス、非営利目的の製品・商品。サービスを公に紹介するために手段を用いること、紹介される製品・商品・サービスを管理する組織や個人の紹介を含み、時事や社会政策の情報及び個人情報の紹介は含まない。
この条文を見る限り、「広告」と「商品やサービスの紹介活動」は同じ定義であると考えられます。
これについて、文化・スポーツ・観光省へ公文書を提出したところ、メディアやSNSでの紹介活動は広告業と見なすとの回答がありました。さらに、業種コード8211の詳細登記として「紹介活動」が記載されていても、広告業を取得しなければならないとの回答がありました。
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複数の法律や複数の公的機関における矛盾
上記のようなことが、なぜ発生するのか。
これは、投資ライセンス(IRC)や企業登録証明書(ERC)を発給する機関である計画投資局と、その他の省(Ministry)や局(Department)で見解が異なったり、そもそも幾つかの法律の間で矛盾(不明確な点)があったりするからです。
計画投資局では、総務サポートサービスとして(他社の)商品やサービスの紹介活動を認めたのに、広告業の管轄当局では、紹介活動は広告業であると見なし、広告業に関する法令違反の罰則対象と見なすということが発生してしまいます。
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ただし、商品やサービスの紹介活動は、ベトナムメディアだけではなく、ベトナム国外からでもできます。例えば、ベトナム国外に設置したドメインからの活動です。GAFAなども同様です。
これらは、法律と実状がいたちごっこのようになっていますが、基本的には、広告に関する現行法はこれらも違反対象とするような内容になっています。よくニュース記事にもなっています(取り締まりの実例は見かけませんが)。
なお、広告業は、2019年初頭よりCPTPPを根拠として100%独資にて可能な業種となっています。