いつもお読みいただきありがとうございます。行政当局とのライセンス業務などで、処理結果に不服があるときに、不服申し立てという制度があるのをご存知でしょうか。
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大まかな流れと得られる救済措置
- 例えば、市の計画投資局の判断に不服があるとします。他社では取得できているベトナム標準産業分類コードであるのに自社の手続きでは明確な理由なく取得できなかった、というようなケースです。この場合、まず1回目は、計画投資局の局長あてに不服申し立て書を送付します。申し立て書の最新フォームは政令124/2020/ND-CPです。不服申し立て期限は、事象発生より90日以内です。
- 当局は10日以内に受理しなければならず、その後、一般的には30日以内、最大でも45日以内に処理する義務があります。その中で「対話」という手順があります。これは不服内容と当局が確認した事実に相違がある場合などに要請されますが、要請されないケースもあります。期日指定が翌日午前中指定など、かなり急な対応が必要ですが、弁護士などの代理人は不要です。
- 1回目の不服申し立て処理結果に納得できない場合、2回目の不服申し立てとして、省市レベル人民委員会の委員長に対する不服申し立て書を送付することが可能です。不服申し立て期限は、1回目の不服申し立て処理結果より30日以内です。
- 当局は10日以内に受理しなければならず、その後、一般的には45日以内、最大でも60日以内に処理する義務があります。手順については、1回目とほぼ同様です。
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その他の方法との比較
- 一般的な公文書やり取りは、当局に回答の義務はありません。頻繁に連絡することにより、回答率を高めることはできますが、内容については、表面的な範囲に留まるケースも少なくありません。しかし、上記の不服申し立てが(弊社見解では)一般的なケースで1回目40営業日程度、2回目も含めると80営業日程度、複雑なケースで1回目80営業日程度、2回目も含めると160営業日程度かかりますので、それよりは短期間で解決する可能性もあります。
- 上位機関への公文書送付。これも非公式な不服申し立てです(上記ご紹介した不服申し立ては不服申し立て法という法律に基づいています)。計画投資局への不満であれば、その内容により、計画投資省、商工省、法務省などとなります。こちらの思惑通り進む場合もあれば、省(Ministry)は手続き内容に関知しないなどと返される場合や無回答の場合もあります。
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本年は、特に後半ですが、ホーチミン市の行政手続きに苦労しました。M&Aの手続きや増資の手続き等において、既に登記済みのベトナム標準産業分類コードを外すようにというものが、かなりありました。ひどいのは、同じ企業で5月に苦労して承認されたコード(外資ならどこにでもある普通のコードですが)を10月に再度外すように要請するものでした。他の法律事務所などでも同様のケースがあるとのことでした。投資法の新政令や新通達、企業法の新政令や新通達で改善されることを期待します。