EPE(輸出加工企業)は、2018年7月10日に施行された政令82/2018/ND-CPにより、投資ライセンス(IRC)取得時の税関による査察(意見聴取)が実務上の障害となり、具体的には、IRC取得前にEPEとしての周囲との境界(壁・フェンス)などが必要とされるということで、「実質的に基礎工事や工場等が完成後でないとEPEとして成立されない」「投資ライセンスの段階では成立されない」などを問題点として、各所にて議論されてきています。
これらに対する最近の公文書2種類をご紹介します。
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税関総局による各省市レベル税関への公文書(2020年6月9日付け3778号)
この公文書では、「暫定指導」と前置きした上で、対象プロジェクトの基礎工事や工場設立が完了した場合に、EPE承認に向けた査察において何を査察対象にするか、という案内に留まっています。
具体的には、周囲との境界(壁・フェンス)、税関に接続された監視カメラシステム、輸出用の各種材料などを税関に報告するための管理システムを検査します、という内容です。
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税関総局による別の公文書(2020年6月11日付け3874号)
この公文書では、外国投資家が新たにEPEを設立する場合について触れています。対象プロジェクトの基礎工事や工場設立が完了し、稼働開始する時点にあるケースは、上述の公文書3778号にて暫定指導をしている、と前置きした上で、基礎工事や工場設立への投資が「まだ」の段階にあるケースについて、次のように回答しています。
「税関総局は本件問題点について各所管に発行する解決策の実行段階にあります。」
意味がわかりにくいのですが、要は、玉虫色といいますか、「回答していない」と言えると思います。
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昨年、本年で、弊社が関わった案件で、EPEとして申請したにかかわらず、省の人民委員会の一方的な意向でIRC上にEPEとして記載されない件がありました。基礎工事完了後にEPEとしての承認を行うとのことでした。別件では(別の省)、査察を行わず、EPEとしてIRC上に承認されました。
現在、EPEとして進めるための「税関査察」「EIA(環境影響評価報告書)」「その他の基礎設計や土地代金支払いのスケジューリング」など、新規EPE工場設立プロジェクトマネジメントは、以前に増して難易度が高くなっているように感じます。業種や地域によって、かなり違う印象を受けますので、地域の複数の当局と常時コンタクトしながら進めていくような進捗管理が必要とされるでしょう。