いつもお読みいただきありがとうございます。中古機械や設備、技術ライン(生産ライン)などのベトナムへの輸入(日本からの輸出)にかかる規制についてご紹介します。
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HSコード84類及び85類にかかる現行規定(2019年6月15日に施行された首相決定18/2019/QD-TTg)
- 機械や設備、技術ライン(生産ライン)に分かれて、次のような条件となっています。
機械や設備 | 技術ライン(生産ライン) | |
経過年数 | 10年以内(下記例外あり) | 条件なし |
稼働能力に対する要求 | 条件なし |
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品質規格や技術規格 |
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- 機械や設備の経過年数にかかる例外は以下のHSコードの通りです(HSコードはベトナム法に準じて記載していますが、使用する桁数の違いのみです)。
15年以内 | 20年以内 | |
機械分野の機械や設備 | 8420, 8454, 8455, 8456, 8457, 8458, 8459, 8460, 8461, 8462, 8463, 8479 | |
木材生産及び加工分野の機械や設備 | 841932 | 8465, 847930 |
紙及びパルプ製造分野の機械や設備 | 8439, 8440, 8441 |
- ただし、輸入する者が既にベトナムで生産活動を行っており、その活動を維持するために機械や設備を輸入する場合には、経過年数が10年を超えていても、「最大能力値の85%以上が残存していること」「原材料やエネルギー消費量が設計値を15%を超えないこと」を条件として、科学技術省(MOST)に対して申請が可能とされています(どのような基準で申請が受理されるかは情報がありません)。
- 品質規格や技術規格への適合を証するためには、上記の条件に対する説明書類が必要です。これとは別に、G7諸国や韓国で製造された機械や設備であり、その製造確認書が取得できるケースを除いて、鑑定機関による「鑑定書」が必要となります。機械や設備、技術ライン(生産ライン)を問いません。鑑定機関は、国内外で32機関、うち日本の機関は日本海事検定協会のみとなっています。
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原則(首相決定18/2019/QD-TTgの第1条、第4条など)
- 上記の現行規定は、生産活動に使用する目的に限定され、販売活動に使用する目的には適用されません。すなわち、販売目的で中古の機械や設備、技術ライン(生産ライン)を輸入することはできません。また、製造廃止された物や品質が悪い物(安全や省エネを満たさない物)、環境を汚染する物も不可とされています。
- 外国商人と修理メンテナンス契約を締結する場合、外国商人の所有であったものを加工委託契約等の終了と共に譲受する場合、非関税地区における企業活動など、上記の輸入規制の例外とされるケースがあります。
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技術ライン(生産ライン)とは何か
- HSコード84類及び85類の中古品輸入について定めた首相決定18/2019/QD-TTgの第3条によれば、「機械や設備、工具やツールが、設計図や技術プロセス図の通りに一定の場所に配置又は連結され、生産の同期化を実現するもの」と定義されています。
- したがって、必ずしも大規模で なくても該当し、工作機械の類は該当すると思われます。該当する場合には、経過年数制限がないことになります。
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部品や付属品の中古品は認められるか
- 機械や設備の定義に当てはまるものであれば認められ、特に動作・作用の機能有無で判断が分かれるようです(当局が大手メーカー各社に回答した複数の公文書より弊社見解)。
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旧規定となる科学技術省通達23/2015/TT-BKHCNは2020年3月末まで施行されていました。旧規定では条件つきで販売目的での中古品輸入が認められていたり、部品や付属品の中古品輸入の規定も異なりました。投資プロジェクトにおいて中古製品の使用が認められる事例なども表現されていました。
なお、ベトナムの中古規制は、機械や設備だけではありません。自動車や船舶など、別の法令にて定められていますので、別の機会に紹介させていただきます。