ベトナムにおいて事業を行う際、自社の事業が小売であるのか卸売であるのかによって、行政当局との手続き(ライセンス関係)やスケジュール感が変わってきます。基本的な部分をご紹介します。
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小売業の種類
小売業というと、店舗やウェブサイト(オンライン店舗)を構えて消費者に販売する形態をイメージするでしょう。これは、間違っていません。ただ、ベトナムでは、店舗を構える形態ばかりが小売業ではなく、例えば、自動販売機を展開する事業、個人をエージェントと見なす連鎖販売取引(マルチ商法)なども小売業に分類されています。また、外資には市場開放の確約をせず(外資には認めず)内資には認めている移動形式の小売業もあります(政府裁量分野)。
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小売業の定義(卸売業との区別)
小売業とは、消費目的で、個人、家族世帯、他の企業への販売活動を行うことであり、最終消費者における使用を目的とした販売活動とされます。具体的には、個人や家族世帯の生活目的とされ、工場や企業などの組織、その従業者が使用する消費材(食品、消耗品、事務用品、ユニフォームなど)は、小売ではなく卸売と見なされます(2018年5月30日付け商工省公文書「4248/BCT-KH」など)。
一方で、投資ライセンス(IRC)に基づく事業活動(業種)に直接的に使用しない消費材(従業者が使用する食品、飲料、事務用品等)は、小売対象であるとした事例(2018年8月7日付け商工省公文書「6219/BCT-KH」)もありますので注意が必要です。
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小売業に必要なライセンス及び手続き(外資向け)
- 投資ライセンス(IRC)及び企業登録証明書(ERC)上に、小売業の登録が必要です。取扱品目によって、WTOにおける標準産業分類コード(CPC)やベトナム国の標準産業分類コード(VSIC)が変わります。
- 小売を行う予定の商品に対して、ビジネスライセンス(BL)が必要です。このBLは、小売を行う予定商品のHSコード(品目分類コード)を特定して登記する手続きとなります。
- 店舗を有する場合には、店舗に対してBLが必要です。このBLは、上記のHSコードに対するBLとは異なります。
- 2つ以上の店舗を有する場合には、上記BLの更新ではなく、その店舗のBLを追加します。この場合、店舗面積が500平米以上である等、条件によってはエコノミックニーズテスト(ENT)申請が必要となります。ただ、ENT規制は、2024年1月14日には撤廃される予定です(CPTPP)。
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小売業は、BLの申請が面倒となるケースがあります。一つ一つのBLに長いと2か月くらいかかってしまいますので、ここをいかに迅速に進めるかで、事業スケジュールは変わります。手続き自体は難しくありませんので、社内の一般的なベトナム人スタッフでも可能でしょう。