近年、ベトナムのサプリメント市場が急速に発展しています。所得が安定し育児にひと段落した30代後半から40代を中心とした需要が伸び、今後は、50代や60代にも広がっていくだろうというシナリオがあります。
弊社調査では、ベトナム国内のサプライヤーはまだ限定的です。価格さえ折り合えば、日本製品のベトナムへの輸入は大いなる展望があるでしょう。
その際、信頼のおけるパートナーを探し、全てを任せるのもいいのですが、自社(自社の子会社)にてベトナムでの輸入を行い(輸入元になり)ベトナムで卸展開していく際の手順について紹介します。
(弊社の各種レターにおいて、サプリメント・健康食品・機能性食品など幾種類かの語句を使用しているかもしれませんが、この3つの単語については、特に使い分けておりません。)
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輸入からベトナム国内で販売に至るまでの大まかなプロセス
- 商品の適合性にかかる公表
- 商品のラベル作成(補助ラベル作成)
- 輸入税関手続き
- 広告内容の登録
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日本側で準備が必要な書類
- 次のいずれか:①自由販売証明書(Certificate Of Free Sale)②輸出証明書(Certificate Of Exportation)③衛生証明書(Health Certificate)。
- 食品安全検査結果表(Certificate Of Analysis)。指定機関又はISO17025に準ずる機関による発行である必要があります。
- 商品の用途を証明する又は公表された用途を構成する成分を証明する科学的証明書。
- 適正製造規範(GMP)
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実務上の注意点
- 上記2番の食品安全検査結果表は申請前12か月以内のものである必要があります。
- 上記3番については、特に明確に証明書の日付規定はないのですが、古い日付は不受理となるケースがありました。
- 上記4番は、2018年2月より新たに加わった書類規定ですが(2019年7月1日以降に製造された商品に対して)、自社あてのGMPが発行されない場合には、GMPに記載された企業と自社との加工委託契約等の付随証明が必要となります。
- 商品ラベルは、日本側の商品ラベルの上に貼り付ける補助ラベルになるのが一般的ですが、賞味期限は日本の賞味期限と同一になります(二重記載をしなければならないということではありません)。例えば、日本で在庫となっている商品をベトナムに輸入する場合、賞味期限が数か月しか残っていないということになります。
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以上、手順を簡潔にまとめたものですが、サプリメント・健康食品・機能性食品の輸入は、ここ数年で法令の改定や補充が幾度となくありました。実務は少々ややこしいです。
輸入後も、当局による抜き打ちの査察があり、なかなか気は抜けません。査察では、商品の保管場所、定期的な報告義務の履行状況、書類の準備・保管状況をチェックされます。
余談ですが、今回のレターのような内容に限らず、行政当局や政府当局の査察は、一般的に、当日その場で作成し出力した議事録に署名捺印を求められます。当然、ベトナム語です。
公安や税関は比較的厳しいですが、それ以外の査察は、外資系企業であるということを理由に、後日の署名捺印として時間を稼ぐことが可能です。いきなりの署名捺印に戸惑われた場合には、すぐに専門家にご相談いただくことをお勧めします。