弊社48号レターにて、競業避止に関する考察を行いました。その後、副業や兼業、競業避止について詳細を定めた就業規則が地域の労働組合に承認され、その後、労働当局に承認された事例がありましたので、引き続いて競業避止について紹介します。
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就業規則における競業避止規定
- 競業避止義務を定義します。例文としては「退職後一定期間において利益が相反するような他社への在籍、就職、業務受託、または利益を相反するような新会社設立あるいは参加」のようになります。
- 利益が相反するような他社を定義します。地域や業種を具体的に定め、なぜ自社と利益が相反するのか、客観的に分かりやすくまとめるといいでしょう。
- さらに、本旨として、「どのような対象に対して」「どのように制限するか」を具体的に規定します。
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就業規則登録プロセスにおける対応
- 就業規則の登録は、自社の労働組合または所属している地域の労働組合(労働連盟)に就業規則案を提出し、意見調整をしてから、当局へ提出をします。大抵の場合、当局提出前に組合による現場査察があり(労務監査とは違います)、代表者や従業員の意見を招集します。
- この段階で、従業員(全員)に対して競業避止規定への意見をヒアリングし、競業避止規定が就業規則として適しているかを見られます。適している会社や業種もあればそうでない会社や業種もあると思います。
競業避止規定には、「管理される」「拘束される」というイメージが少なからずありますので、労使間で緊張が生まれるかもしれません。しかし、会社へのロイヤルティ(Loyalty)を浸透させ、組織として団結していくという視点もあるのではないでしょうか。
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一般論として、ベトナムは(日本に比べて)データやノウハウの流用が目立ちます。例えば、弊社の例で言えば、入社した弁護士や会計士が、他社の書式などを持ってくるケースもあります(※厳重に注意します)。
職歴書に名のある会社が多く連なっている場合は、独立心を隠し、名のある会社のデータやノウハウを集めて転々としているのかもしれません。
営業を行っていた方がその人自身が開拓した顧客リストを他の職場へも流用し続けるのは、ほぼどの業界でもあることで、中小企業の経営者にとっては頭の痛い問題でしょう。
こういった問題が起こるのは、雇用者、特に創業社長の競業避止に対する観点と、職業選択の自由や競争の自由などの観点が、それぞれ違う角度で行き違っているのだと思われます。したがって、競業避止についてどのような規定を行うにも、関係者間の認識が明確に一致できることこそ理想的です。