今回は、インボイスの発行日付についてです。精算前にインボイスを発行したり、精算後にインボイスを発行したり、社内オペレーションで迷われたことはないでしょうか。
電子インボイスについて触れた弊社095号レターで少しご説明したように、インボイスと領収書は異なることに注意が必要です。
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サービスに対するインボイス発行の原則(財務省通達39/2014/TT-BTC)
サービスに対するインボイス作成日は、支払いを受けたか否かにかかわらず、サービス提供が完了した日となる。サービスサプライヤーがサービス完了前または提供中に支払いを受けた場合には、インボイス作成日は支払いを受けた日となる。
工事や据付は、支払いを受けたか否かにかかわらず、据付が終わり、施設や工事物などの引き渡し、検収が完了した時点となる。
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サービスの売上認識
サービス収益をどの時点で認識するかは各社様々でしょう。法令は以下のように定めています。
- 付加価値税:サービス業者においてはサービス提供が完了した時点またはインボイス作成時点が、付加価値税課税の確定時点である(財務省通達219/2013/TT-BTC)。
- 法人税:サービス業者においては、特定のケースを除き、買い手に対してサービス提供が完了した時点またはサービスの個別提供が終わった時点が、法人税課税の確定時点である(財務省通達96/2015/TT-BTC)。
これらより、インボイス、付加価値税、法人税の各種法令は少しずつ異なるものの、一般的に、サービス提供の完了時がインボイス作成日となり、同時に収益として計上することになるでしょう。
しかし、サービス収益が前月の成果によって変動するケースなどもあります。こういった場合は、契約書において、収益の確定時点、インボイスの発行時点などを規定する必要があります。日本のような「末締め末払いとする」「実費はその都度精算をする」というような簡易な表現では、実務に誤解が生じる可能性があります。
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電子インボイスの発行原則
2020年11月1日から全面稼働となる電子インボイスの発行原則を見てみます。
サービスに対する電子インボイスの作成日は、支払いを受けたか否かにかかわらず、サービス提供が完了した日、または電子インボイスを作成した日となる(政令119/2018/ND-CP)。
少しわかりにくいですが、新たな時点として「電子インボイスを作成した日」が新たに加わっています。これについての詳細は財務省通達68/2019/TT-BTCに定められています。ここでは割愛させていただきます。
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上記は、サービス業の一般的なケースですが、特殊なサービス業のケース、国外での売上や仕入れがあるケースなど、その他さまざまなケーがあります。会計の実務は、ビジネスの初期段階、拡大段階など、節目節目において、その運営効率とコンプライアンスの双方に対する合理的なやり方を考案し、契約フォームに落とし込み、ルーティンとして実施していくことだと理解しています。
本レターは2023年9月8日更新版があります。