弊社053号レターで少し触れました酒類販売ライセンス(酒類流通ライセンス)についてご案内いたします。
酒類を輸入し、ベトナム国内で流通する、または小売店(酒販売店)や飲食店を出店して、そこで酒類を提供するというケースを想定いたします。
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酒類販売ライセンスとは何か(政令105/2017/ND-CPおよび17/2020/ND-CP)
- アルコール度数5.5以上の酒類を輸入を行うためには、このライセンスが必要となります。同時にベトナム国内での卸売・小売ができるようになります(小売店舗を構える場合には、小売店舗のライセンスが別途必要です)。
- 一方で、アルコール度数5.5未満の酒類の輸入、卸売、小売にはこのライセンスは不要です(別途届出が必要となります)。これらは2020年3月22日より法令変更されていますので注意が必要です。
- ライセンス取得には、2つの省市レベル地域にて流通網を有していなければなりません(本店所在地も含みます)。「流通網」を証明するために、次のいずれかの選択肢を取ります。
(1)当該地域での酒卸売のライセンスを有する企業との契約書(取引基本契約など)を準備する。
(2)当該地域における自社の支店または経営拠点登記を行う。
- また、ライセンス取得には、仕入先との取引基本契約などが必要となります。輸入する場合には、外国側の酒流通業者または製造業者からの書面が必要となります。ベトナム国内仕入れの場合は、当該業者のライセンス写しで可能です。
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酒類のベトナム国内市場流通前に必要な商品適合公表(科学技術省通達 28/2012/TT-BKHCN、02/2017/TT-BKHCN、保健省品質規格 QCVN 6-3:2010)
- 輸入酒類は、輸入前に商品適合公表の手続きを行わねばなりません。
- 輸入実務の主な流れは以下の通りとなります。
(1)品質検査登録、(2)当局による登録確認、(3)税関届け出、(4)通関、(5)適合証明書の提出
- 以下のような流れで行うことも可能とされています。
(1)適合証明書を添えて品質検査登録、(2)当局による検査結果通知、(3)検査結果通知をもって税関申請、(4)通関
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商品ラベルなど
上記2つの手続きを終え、商品ラベルを貼り付け、商品を自主登録します。商品ラベル規定については、別の機会に書かせていただきます。
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その後の手順
以上にて、ベトナムでの流通は開始できます。
ただ、小売店(酒販売店)や飲食店を営む場合は、物件(店舗)に対する許認可が必要となります。飲食店については、弊社053号レターをご覧いただくとして、小売店についてですが、以下のチェックポイントとなります。
- IRC/ERCにおいて「店舗あり」の業種登録としたか
- 物件は商業店舗として使用できる土地建物状況であるか
- 広さなどより判断して、防火消防、安全についてどの程度の当局届出が必要となるか
- 環境保護についてどの程度の当局届出が必要となるか
- 2店舗目である場合、ENT(エコノミックニーズテスト)の対象となるか
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酒類販売ライセンス(酒類流通ライセンス)は、難易度が高いライセンスです。ローカル弁護士事務所でもそれなりの金額を取っています。
以下余談です。
先日、某所よりお見積りを頼まれ、即日提出したところ、某所曰く、弊社の見積り価格が安く、弊社価格に弊社価格の2倍の金額をプラスした「3倍(弊社価格+弊社価格の2倍)」にて見積書を作成し、その差額分(弊社価格の2倍)を「某所」にキックバックしてほしいと言われました。
「某所」の代表者は数年前より存じていましたが、初取引となる案件でこのようなお話となり、弊社のポリシーよりお断り申し上げました。