いつもお読みいただきありがとうございます。取引先との業務の中で発生する経費や実費など、一般的に立替金として理解されている支出について整理させていただきます。
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一般的に言う「立替金」の種類
次の2種類に大別されると考えます。
- 取引先(顧客)のために使用する商品購入費またはサービス利用費です。商品購入であれば、この商品の所有権は顧客に帰属することを目的とし、自社(立替者)に帰属することを目的としません。サービス利用であれば、こちらも顧客が継続利用していくサービスを目的とします。例えば、社会保険の手続きを行うトークンサービスの手続きを弊社が顧客に代理して行ったとすれば、コントラクターは顧客ですが、弊社が代払いするケースがあります。
- 取引先(顧客)との業務を実施するために、立替者が業務受託者として使用する商品購入費またはサービス利用費です。例えば、当局への移動交通費、書類コピー代、公証代などです。
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基本的な考え方
上記の立替金2種類に対する基本的な考え方は、日本と同じだと考えます。
- 1番の立替金については、立替者が第三者より受け取った領収書やレシートは顧客に渡します。ベトナムではインボイスを顧客宛にします。
- 2番の立替金については、立替者が第三者より受け取った領収書やレシートを顧客に渡さず、渡すとしてもコピーとなります。その代わり、立替者の領収書を発行します。ベトナムでも同様です。
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仕訳と税務
- 1番の立替金については、勘定科目コード「その他未収金:138」を使用し、立替者は法人税の損金計上や付加価値税の控除に使用することはできません。上記の通り、インボイスの宛先は顧客宛である必要があり、税務上は、顧客と立替者の間での立替にかかる合意がある必要があります(契約条項などですが、後付けでも問題ありません)。顧客から立替者への入金に対してはインボイスを発行するのではなく入金伝票(レシート)のみ発行します。例外もあります(弊社020号レター、131号レター、など)。
- 2番の立替金については、顧客は立替者が第三者より受け取ったインボイスを受け取れず、法人税の損金計上や付加価値税の控除が受けることができないと考えられがちですが、立替者のインボイスを受けることができます。一般的に発生することですので、大きな論点ではありませんが、顧客の(会計担当者の)理解を得ておいた方が良いケースがあります。
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今回ご紹介した「1番」「2番」の立替金ですが、1番については比較的多くの公文書などでも案内されているようですが、2番についてはあまり情報がありませんでした。しかし、本レターを書くにあたり、再度税務当局に確認したところ、ハノイ市もホーチミン市も同様の理解でありましたこと、付記いたします。