いつもお読みいただきありがとうございます。今回は、販促活動(セールスプロモーション活動)にかかる税務その他の留意点を整理させていただきます。
贈答品やプレゼント品についてご紹介した弊社025号レターもご参照ください。
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販促活動(販売促進活動)の形式についての定義
次のような活動は販促活動となります(2005年商法第92条)。
- 顧客に対して無償にて商品やサービスの見本(サンプル)を提供する。
- 顧客に対して商品贈呈またはサービスの無償提供をする。
- 登録や公示を行った期間における定められた価格よりも安価での商品提供またはサービス提供。国家の価格管理対象である場合には、法令に基づいていることを前提とする。
- 商品提供またはサービス提供において、1回または複数回利用できる一定の便益を享受できるバウチャー(クーポン)を使用する。
- 商品提供またはサービス提供において、懸賞券、くじ引き参加券、メンバーカード(サービスの数量や金額が累積されていくような形式)を付与し当選者に対して規定の特典を贈呈する。
- 販売促進を目的として顧客が参加できる文化、芸術、娯楽その他のイベントプログラムを実施する。
- 商業関連機関が承認するその他の販促活動の形式。
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販促活動の登録・公示義務(政令81/2018/ND-CP)
次のような活動を除いて、省市レベルの商工局に登録または公示する必要があります。2つ以上の省市に及ぶ場合には商工省への登録または公示となります。基本的に、実施3営業日前までです。
- 賞品・景品・特典・贈答品・プレゼント・見本・サンプルなどの合計価値が1億ドン(約50万円)未満である販促プログラム(キャンペーン)。
- 電子取引(所)やウェブサイト上においてのみ実施する販促プログラム(キャンペーン)。
- 前2号については、くじ引きを有する販促活動は例外となります。
罰則は1,000万~3,000万ドン(約5万円~15万円)です(政令185/2013/ND-CP)。
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販促活動の対象外となる商品またはサービス(政令81/2018/ND-CP)
次のような商品またはサービスは販促活動の対象外とされます。
- 酒類、宝くじ、たばこ、代用乳、人間用医薬品(認可済み医薬品を含む。薬局などのディストリビューター向け販促活動は除く)、公共施設における診察診療、公共施設における教育や職業訓練、その他法令で流通または販促が禁止されている商品やサービス
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付加価値税の処理
- インボイスは発行しなければなりません。インボイスには、商品やサービスの名称、数量と共に「販促・広告・見本(サンプル)該当」と明記する必要があります。付加価値税率および税額については何も記載せず斜線を引きます。商品またはサービスの金額は、サンプルなど無償提供であれば「0」と記載し、割引プロモーションであれば、割引後の金額を記載します。
- 税務当局への申告は通常通り行う必要があります。もし、商工局または商工省への登録または公示がなされていない場合には、付加価値税額および税率は通常通りとなります(入金が得られないため、控除可能な付加価値税額とはならず税務コストとなります。
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法人税の処理
商業関連法令に従い、自社の事業活動に適した販促活動であれば、その費用については、法人税法上の損金として処理可能です(財務省通達96/2015/TT-BTC)。
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販促活動の届出義務について定めている政令81/2018/ND-CPは2018年7月15日より施行されました。従前の法令より対象や手順が緩和されたと言われています。
会計や税務の観点からは合理的に見受ける部分もありますが、営業上の観点からは、約50万円以上を使用する販促活動(ほぼ)全てに届出義務が発生するのは非常に手間であり、外資系企業にとっては、行政手続きが1つ増えるだけでも事業推進に余計な時間や労力を要することもあり、まだまだ不便な制度と見受けます。