いつもお読みいただきありがとうございます。輸出入関税法において定められる「免税規定」の一つに、投資法令に定められた投資優遇を受けるプロジェクトにおいて使用される輸入機械設備や輸入部品・付属品などがあります。今回はこちらの実務上のポイントをご紹介します。
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免税対象
新規プロジェクト・拡張プロジェクトに拠らず、投資優遇を受ける者が固定資産を形成するために輸入する次の物は、輸入税の免税対象になります(2016年輸出入関税法の第16条11項および政令134/2016/ND-CPの第14条)。
- 機械設備、付属品・部品・外部パーツで組立時や使用時に組み入れられるもの、機械設備または組立時や使用時に組み入れられる付属品・部品・外部パーツを製造するための原材料
- プロジェクトの生産活動のために直接使われる技術ライン専用の運送手段(詳細は科学技術省の通達14/2017/TT-BKHCNなど)
- 国内生産ができない建設物資(詳細は計画投資省の規定準拠:本レターテーマ)
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国内生産ができない建設物資とは何か
計画投資省通達01/2018/TT-BKHDTに「国内生産可能な物資」のHSコードが定められています。「技術ライン専用の運送手段」なども言及されています。
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国内生産ができない原材料とは何か
輸入免税の対象となっているもの全てについて本レターでは紹介いたしませんが、その大半においては「国内生産ができない原材料」という語句が含まれています。投資優遇プロジェクトに限定される場合もあればそうでない場合もあり、生産稼働後の一定期間(の輸入)に限定される場合などもあります。
例えば、医療設備、石油やガスのエネルギー分野、情報技術やデジタルコンテンツ・ソフトウェアの開発分野、環境保護にかかる分野、教育分野、国防分野など、原材料には書籍や資料等も含まれます。詳しくは、お問い合わせいただければ幸いです。
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国内生産ができない建設物資や原材料の免税適用
- 企業自身による自己適用ではなく、税関に対し、当該物資や原材料について事前申告しなければなりません。企業が使用する請負業者やファイナンシャルリース業者が代理申告することも可能です。
- 時期としては、最初の免税品が到着し通関を行う前までとなります。当局処理基準は3営業日となっています。
- 加えて、会計年度終了後90日以内に年次報告が必要となります。
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輸出入にかかる品目のHSコードや各種規制・優遇の事前確認に網羅性を持たせるには、それなりの社内フローを構築していかねばなりません。かつ、1年間に1回程度、新たな情報が漏れていないか見直していく必要もあるでしょう。
今回ご紹介した計画投資省通達01/2018/TT-BKHDTのほか、HSコードの基本規定である財務省通達65/2017/TT-BTC(財務省通達09/2019/TT-BTCにより改正)、輸出入品の分類を規定した財務省通達14/2015/TT-BTC、裾野産業を規定した財務省通達55/2015/TT-BCTなどを軸として、自社の業種・地域に関連するその他規制やガイダンスを加えることをお勧めします。