技能実習制度に加えて2019年より導入された特定技能制度について、ベトナム当局(DOLAB)での申請などベトナム側で定められていることについて簡単にまとめさせていただきます。
特定技能制度には、様々な業種・分野がありますが、今回は建設業を例にさせていただきます。
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ベトナム側送り出し機関と契約を締結できる日本側当事者
- 建設業の場合、ベトナム側送り出し機関と労働者提供契約書を締結できるのは、特定技能労働者を受け入れる組織(一般企業など)、または無料職業紹介サービス機関となります。有料職業紹介サービス機関は含まれません。
- 建設業の特定技能労働者を受け入れる組織(一般企業など)には、いくつか条件があります。例えば、JAC(一般社団法人 建設技能人材機構)会員である、など。
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ベトナム当局による特定技能労働者の承認
- ベトナム側送り出し機関は、日本側との労働者提供契約書をDOLAB(労働・傷病兵・社会省 -MOLISA- に属する海外労働管理局)に登録して承認を受けると共に、特定技能労働者名簿を提出しなければなりません。
- この際、日本側当事者が上記の条件に該当していることの説明が必要となります。
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法令改正
- 2021年現在、2006年の海外労働派遣法が現行法となっていますが、2022年1月1日より新法が施行されますので注意が必要です(2020年の海外労働派遣法)。
- 経過規定として、2006年法に基づいて2022年1月1日より以前に締結された労働者提供契約書や労働者名簿にて2022年7月1日より以前に出国するケースにおいては労働者提供契約書の期限が終了するまで認められます。2022年7月1日以降に出国するケースは2020年新法に沿って(2022年1月1日以降に)承認を受ける必要があります。
- 2020年新法においては、労働者提供契約書に含むべき条項が少し増えています。「年齢」「給与から控除される手当類の詳細開示」「リプロダクティブ・ヘルスにかかる規定」「社会保険類の詳細」「労働者にかかる災難に対する責任範囲」などです。
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実務上の注意点
- ベトナム側での労働者訓練にかかる費用は日本側が負担します。したがって、労働者提供契約書においてはベトナム側企業の銀行口座が記載されている必要があります。日本側が負担する航空券その他詳細も規定しておく方がよいでしょう。
- 労働者提供契約書について当局より承認を受けるのはベトナム側送り出し機関の業務で、DOLABの担当者の意見を取り入れながら労働者提供契約書を修正していく作業になりますので、日本側からはその進捗や内容は見えにくいものになるかもしれません。特に、適用法令が変わる時期は注意が必要です。
- 建設業にかかる労働者提供契約書の承認においては、業務にかかる細かな条件や説明資料(労働者への説明資料含む)が必要となり、それらをベトナム語で正確に準備する必要があることから、経験の豊富な送り出し機関で2~3週間、DOLABとの業務経験や関係性のない送り出し機関の場合には4~5か月かかるようです。
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建設業にかかる労働者提供契約書の承認ガイドラインについて個別のガイダンスが準備されるというMOLISAの非公式見解があります(2021年11月時点)。
労働者関係や出入国関係のベトナム当局手続きはまだまだ見えにくい部分がたくさんあります。日本側にて見えにくいこと、お困りのことなど、弊社では、ベトナム側送り出し機関との調整を行ったり、協力関係を築くことも可能ですので、お問い合わせいただければ幸いです。