自社の商品やサービスをベトナムで展開していくためには、代理契約や販売店契約などで販売網を形成していく必要があるでしょう。
ベトナムの商法では、販売代理や委託の形式が主に4種類に分かれています。その際、相手が個人である場合など、こちら側で税務を行わなければならないケースがありますので、ご案内します。
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税務原則
手数料(コミッション報酬)を得ることによって活動する代理業者は、商品やサービスの価格によらず、得た手数料金額に対する付加価値税のみを申告します(財務省通達119/2014/TT-BTCの第1条3項)。これは、売上の収納代行を行うケースも想定しています(財務省通達219/2013/TT-BTCの第5条7項)。
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法人が代理業者である場合
代理業者である法人が自身にて申告、納税を行います。
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個人が代理業者である場合
企業側は個人に代わって税申告と納付を行わなければなりません。
税率は、次のようになります(2014年改正税法の第2条4項)。
商品流通:0.5%、サービスや材料のない施工:2%(但し、資産リース、保険代理、宝くじ代理、連鎖販売取引は5%)、製造・運搬・商品付随サービス・材料のある施工:1.5%、その他:1%
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ベトナムの代理業者とは
- ベトナムでは、個人が商業活動を行う場合には、原則、商業登記をしなければなりません。これを商人といいますが、商人とは、個人ばかりではなく、商業登記をした法人も指します(商法第6条)。
- ベトナム商法では、「商人の代理」「商業仲介」「商品売買委託」「商業代理」という4種類の形式が定められています。この中で、いわゆる「代理店」とは「商業代理」を指します。
- 代理店は、自らの名の下に商業活動を実施し、例えば、他社商品を自らの名義で販売します(所有権は移動しません)。代理店の報酬は、販売元より手数料形式で支払うケース、及び代理店が収納代行を行って販売価格と仕入価格の差分を取るケースのいずれかを選ぶことができます。この際、顧客に対する責任は代理店が負います。販売元は、代理店が顧客に対して問題を生じた際に自らの過失があった場合のみ連帯責任を負います。
- 代理店は、包括代理店、専属代理店、総代理店その他お互いが合意した代理店形式が可能です。詳細はまたの機会に紹介します。
(弊社031号レターにて収納代行について書いています。収納代行が代理店と見なされる可能性があるという法律事務所の意見がありましたが、代理店は「自らの名の下に契約先企業のために物品を販売し或いはサービスを提供し、それに対する報酬を受領する商業活動」ですので、その報酬の受領形式として収納代行はあっても、収納代行という行為が代理店であるとされる可能性は限りなく低いのではと考えます。)
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現代において、販売チャネルの構築は多種多様です。当然、自社で営業社員や販売社員を抱えて売るばかりではありません。
その際、どういった協力形式、パートナー形式、エージェント形式があるのかは、法令があって実態があるというよりは、実態があって法令が伴っていくということだと理解しています。もちろん、明らかに脱法行為であるケースは除きます。