いつもお読みいただきありがとうございます。今回は、有限責任会社の会長職(議長職)への報酬について、会計税務の視点より留意点をご紹介します。
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個人への報酬費用の出金原則(財務省通達96/2015/TT-BTCの第4条、財務省通達25/2018/TT-BTCの第3条)
法人税法上の課税所得と非課税所得を決定する基本的な条件は以下のとおりです。
- 企業の生産活動、事業活動にかかる直接的費用であること。
- 法規定に準じた適法なインボイスや証憑に不足がないこと。
- 個別に2,000万ドン以上(付加価値税込み)の価値を有する商品売買やサービスにかかるインボイスが生じる場合、非現金決済による証憑があること。
次のケースにおける労働者への給与賃金、賞与の支出は、認められていません(下記の他に1種類のケースがありますが本レターでは割愛します)。
- 企業労働者への給与賃金、その他支払うべき費用が期中の生産活動経費として計上されているが、未精算または法規定に準じた精算証憑がない場合。
- 私人企業主及び1名有限責任会社の所有者(個人主である場合)の給与賃金。
- 社員総会や取締役会のメンバーや創立員への報酬で、これらの者が生産活動や直接的な経営などに参加していない場合。
- 労働契約書、労働協約(労使協定)、会社やグループの会計規程、会社へグループの会計規程に準じて取締役会の議長や総社長又は社長が定めた賞与規程(のいずれか)に、労働者への給与や賞与の詳細条件が記載されていない場合。
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結論(各種の公文書における結論)
- 上記より、有限責任会社の会長(議長)に対して報酬を支払う場合には、その個人が生産活動や直接的な経営に参加し、かつ、労働契約書、労働協約(労使協定)、会社やグループの会計規程、会社へグループの会計規程に準じて取締役会の議長や総社長又は社長が定めた賞与規程(のいずれか)に、報酬の詳細条件が記載されていれば「可」とされます。
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会長兼総社長という機関設計にしている有限責任会社では、総社長自身が総社長に対して労働契約書を締結するのは法的効力もなくおかしいですので、上記より「会計規程」で可能ということになります。一方で、会長と総社長(又は社長)がいる場合は、総社長を雇用者名義として会長と労働契約書を締結することも可能です(逆も然りです)。
個人がオーナーである1名有限責任会社は上記紹介した通りですので、気を付けてください。
(参考:122号レター~株式会社の取締役会メンバー報酬)