いつもお読みいただきありがとうございます。今回は、非関税事業(EPE(輸出加工企業)や保税倉庫など)の新規登記時に、事業地のリース料やレンタル料の付加価値税が10%適用になるケースがあるというお話です。
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新規プロジェクト案件における不動産リース又はレンタル
- これは、工業団地や倉庫、その他工場用の土地などに限らず、事務所や店舗など全般に当てはまることですが、外国企業の新規プロジェクトにおいては、新規法人又は新規プロジェクトの登記が終わるまでは、新規法人や新規プロジェクトの名義にて契約を行うことはできません。当たり前なのですが、念のためです。
- したがって、新規法人や新規プロジェクトの登記完了日までは、親会社又は投資家である外国企業が当該不動産の契約を直接行うこととなります。法務としては、本式の契約書(Deed)ではなく、MOUや AIP又はReservation Agreementで進めるのが一般的ですが、登記に時間がかかると見なされる場合には、不動産オーナー側もリース料やレンタル料が早期に発生する形を望みます。
- この際、新規法人や新規プロジェクトが非関税事業(EPEや保税倉庫など)である場合、以下の2つのケースが発生します。
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- 事業地として非関税地区(輸出加工地区や保税地区)でないところを選び、事業が適法認可される前に、場所が適法認可される必要がある場合
- 事業地として非関税地区(輸出加工地区や保税地区)を選び、事業のみ適法認可される必要がある場合
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付加価値税の課税基準
非関税地区における活動にかかる付加価値税は、基本的に0%課税ですが(参考:弊社117号レター)、上記1のように、非関税地区として適法認可されていない場合には、付加価値税は10%課税です。したがって、上記1のケースでは、非関税地区として認可される日まで10%課税となります。上記2のケースにおいては、始めから0%課税となります。
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EPEや保税倉庫にかかる事業計画を進める際には、会計税務のみならず、かつ法務のみならず、相互に細かく確認しながら進めた方が合理的になるケースが多いと感じます。
上記1のケースで、登記完了までの家賃が全て付加価値税0%適用になると誤解し、入居企業に誤った案内をし、更に登記完了後に過去日付に遡って契約書を書き直す工業団地の事例を耳にしましたが、工業団地に限らず、最近の不動産貸し手側には、十分な法務人材がいないケースも多く、根拠の疑わしいお話や明らかな恣意的解釈を要求してくるケースもあり(法律をしっかり調べないで憶測で答える担当者もいます)、弊社のような実務集団であっても、社員の末端までしっかり言い聞かせないと「相手の意見に飲まれてばかりで正論を返せていない」ケースもありますので、注意が必要です。