ベトナムでは、親会社など、ベトナム国外とのローン契約を結ぶ場合には、中央銀行への四半期ごとの報告や登録などの業務が発生します。海外ローンと呼ばれています。
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海外ローンの定義
- 海外ローンは、外国為替での実行を基本とします。海外ローンをベトナムドンで実行可能なケースは限られていて、(1)借り手がマイクロファイナンスである場合、(2)借り手が外国投資家より出資を受けた企業であり、この外国投資家に利益配当した中から借り入れをする場合、(3)その他中央銀行によって承認された場合に限定されます(中央銀行通達12/2014/TT-NHNNの第7条)。
- 海外ローンは、その契約形式として、ローン契約ばかりではありません。輸入製品にかかる割賦販売契約、委託貸付契約、リース契約、債券発行にかかる契約があります(中央銀行通達03/2016/TT-NHNNの第3条)。
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海外ローンの報告義務と登録義務
- 海外ローンは、そのローン期間によらず、中央銀行に対して四半期毎に報告する義務があります(中央銀行通達03/2016/TT-NHNNの第40条)。
- 1年以上のローン期間となる場合には、中央銀行に対して登録する義務があります。1年未満のローン契約の期間を延長した場合でも同様の登録義務が発生します(中央銀行通達03/2016/TT-NHNNの第9条)。ただし、割賦販売契約のみ登録義務対象から外れます(中央銀行通達03/2016/TT-NHNNの第12条)。
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罰則規定(政令88/2019/ND-CPの第23条)
- 海外ローンに関する罰則は、2019年12月31日までは4,000万ドン~8,000万ドン(約20万円~40万円)であり、現在は3,000万ドン~5,000万ドン(約15万円~25万円)と減額されています。
- 但し、海外ローンに関する例外規定として、1億5,000万ドン~2億ドン(約75万円~100万円)という罰則もあります。どのような場合が当てはまるかは、未詳です。
(参考:弊社28号レター)
聞いた話では、違反事例が発覚するのは、税務局から中央銀行への通知ということです。ただし、悪質な事例を除き、始めから罰則金が課されるのではなく書面勧告となるようです。
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中小企業における事例ですが、例えば、日本から現金で持参し、両替をしてから貸し付けるケースがあります。こちらは、中央銀行に対する報告や登録の対象ではありません。