いつもお読みいただきありがとうございます。本レターでは、個人所得税法より、非課税となる所得について整理いたします。所得には、課税所得、非課税所得、免税所得、減税所得などがありますが、課税所得の中で最もメジャーである「給与所得」に関連する非課税所得を紹介します。
結論を先に申し上げますと、給与所得に関連する非課税所得とは、支払者である会社から(会計的に)見て、法人税法上の損金として控除可能である費用となります。
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所得全般における非課税所得(財務省通達111/2013/TT-BTCおよび92/2015/TT-BTC)
おおよそ以下の通りに列挙されています。
- 従業員自身やその親族の深刻な健康状況における診断や治療に対する雇用者からの支援金
- 国家や党の組織や機関、団体が定めた交通手段による通勤費用
- 規定された公邸に関する受け取り金額
- 公務にかかる給与外の受け取り金額
- 食事手当や就業中に提供を受ける食費該当金額
- ベトナムで就労する外国人が1年に1度、本国に往復する飛行機代
- ベトナムで就労する外国人の子供の学費類
- 慈善団体や国家基金、芸術・科学・文化などに関連した公的任務などによる所得
- ベトナムで就労する外国人や専門家の国際条約などに則した非課税範囲金額
- 法人税との連関にて適性を判断し、法人所得にかかる費用として判定できる範囲で、従業者自身やその親族を支援する目的をもった費用
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給与所得における非課税所得(各種法令および弊社108号レター)
- 電話代、遠隔地手当、年功手当、出張手当、危険手当。これらは、特に条件がなく、社内規程の設置のみで非課税所得とできる費用です。但し、金額の目安はあります。
- 昼食代、社宅代、通勤費、燃料費、服装代、娯楽手当(会員権など含む)、学童手当、帰省手当、移動手当、異動手当、社員旅行、健康診断、慶弔手当、労災手当、研修手当。これらは、それぞれ一定の条件があります。
上記(各種ベネフィット)は必ずしもすべて法令上に列挙されているわけではありません。弊社が見てきた各社様の事例や、弊社自身のアイデアも含めております。
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個人所得に関連して、ある事例をご紹介します。
数年前、数名の日本人が集まって個人出資の株式会社を設立し、取締役会のメンバーであることを理由としてレジデンスカードを取得しました。その後、会社の費用で社宅を借り、飲食費用などを支出しながら、彼ら日本人はベトナムに居住を始めました。会社から給与や報酬は取っておりません。
あるコンサルに設立のみ依頼し、その後、特に従業員は雇用せず、会計と法人税・付加価値税の処理のみ会計会社に依頼したそうです。名のある会計会社で担当者は日本人の方です。
いろいろな経緯があり、弊社が事情をうかがったときは、ベトナムに居住している日本人株主たちのベネフィットがあるにかかわらず、彼らの税コード登録がなく(一度も申告しておらず)、所得に関する会社との契約や取締役の決定書も存在せず、ワークパーミット免除の確認書を持っておらず、という状況でした。
会計の業務のみを受託しているという認識で各種の費用をシステマチックに仕訳けし、そこに個人の課税所得となる費用があっても、個人所得にかかる外国人の税務申告の問題や労務問題には関心が行かなかったのだろうと思いますが、同じ日本人として、少し寂しく感じた一件でした。
ベトナムは日本と違います。企業所有者や株主であっても所得を受けるには一定の法務(労務)がありますし、それが揃っていなければ税務上否認されます。筆者が知る限り、今さら相談しづらいという日本人の方も意外と多いと思いますが、そのあたり弊社は柔軟ですので、気軽にご連絡いただければ幸いです。