いつもお読みいただきありがとうございます。ベトナムの付加価値税には直接式と控除式があり、多くの日系企業は控除式の税務を行っています。
今回は、その控除式の原則より不動産事業の事例をご紹介します。
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不動産事業における付加価値税の原則
土地使用権の譲渡は付加価値税法上の非課税となります(117号レター参照)。
したがって、不動産の譲渡取引に対する課税取引額の計算式は、次のようになります(財務省通達219/2013/TT-BTCの第7条10項)。
不動産譲渡価格 - 損金性を有する土地価額
「損金性を有する土地価額」には様々なケースがありますので、ここでは割愛します。
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財務省通達219/2013/TT-BTCの第14条2項
付加価値税の課税事業と非課税事業の双方を含む製造活動やサービス提供事業に対して使用される仕入製品や仕入サービスのインプット付加価値税は(固定資産であっても)、課税事業となる製造活動やサービス提供事業に対するインプット付加価値税のみ控除できる。事業拠点においては、控除可能なインプット付加価値税と控除できない分を個別に記帳せねばならない。個別記帳されない場合には、当該インプット付加価値税は、製品やサービスの総売上に対する課税事業売上比率(%)を乗じて控除される。
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具体的なケース
- 一般的に、不動産事業では、インフラ整備や上物(建物)を建設します。インフラ整備や建物建設は課税事業です。上記のルールに従って個別に記帳すれば、インフラ整備や建物建設にかかるインプット付加価値税は全て控除可能です。
- そして、課税事業や非課税事業に分別できない同社汎用の支出にかかるインプット付加価値税においては、総売上に対する課税事業売上比率(%)を乗じて控除されます。
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ベトナムの付加価値税は、インプットとアウトプットの全てにおいて適合性を求められますので、特に支出についてその是非(事業活動における要否)を問われます。
支出の是非は、今回紹介した付加価値税法上の課税事業と非課税事業のみならず、法人税法上の損金性や個人所得税法上の課税所得とも関係があります。例えば、企業活動の中で使用する飲食費用や接待交際費の類は、ベトナム式は日本式とは違います。ただ、日本で意識した経験がある方であれば肌感覚で覚えられると思います。