Covid-19によって業種を問わない企業において在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)の必要性が一気に高まりました。弊社では、5年ほど前から導入しておりましたので、参考になればと考え、いくつかのポイントを整理します。
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雇用者として検討すべき事項
- 使用するデバイスの指定(パソコンや各種外部デバイスの指定)
- 連絡手段の指定(主にメールアドレス)
- 連絡時ルール(メール、電話などの応答や返信の時間的なルール)
- 勤務時間(固定時間なのか勤怠時間なのか)
- 勤怠管理(どのように勤務時間を申請させるか)
- 給与設定
- 業務上資料(データ)の取り扱い及び会社データベース等へのアクセス基準
- 業務内容や進捗の管理
業種によって異なるとは思いますが、ベトナムでも日本でもあまり変わらないのではと考えます。
実際にどこまで細かく管理するかは業種や社風にも拠ると思いますし、厳格にしようとすればするほどマイクロマネジメントとなり、そのような基準を社内普及していくには一定の時間が必要でしょう。
ただ、ITに関する少しのリテラシーと最低限のルール整備によって、テレワークを実現できるのが現代です。先進的なIT企業やDX企業が日常的に使っているコミュニケーションツールには、一般企業が知らないツールがまだまだあります。
この機会に、自社のリテラシーに見合ったツールを選択しながら、自社のリテラシーを徐々に上げていくような指導プログラムを取り入れてはいかがでしょうか。
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在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)の実践(ベトナムの場合)
- 労働契約書のほかに秘密保持に関する契約や誓約を行っていない場合、これを準備することをお勧めします。特に、顧客に対して一定の秘密保持義務がある業種については、コンプライアンスとして重要です。
- その上で、会社提供のデバイスまたは個人所有のデバイスで、何をどのように行ってよいか、範囲を定めます。スタッフ個別に規定するのは難儀ですので、部署ごとにマネジメントすることになるでしょう。
- データ共有システム(クラウドや共有カレンダーなど)、共同コミュニケーションツール(社内掲示板ツール、プロジェクト管理ツール、タイムマネジメントツールなど)等を、あまり使用したことのない企業の場合には、まずは探すところからです。
- 日本語ベースのツールもたくさんありますが、英語やベトナム語に対応しているものはほんの一部ですので、できれば始めから英語ベースのツールがベターです。世界中には様々な便利なツールがあります。
- テレワーク時の給与については、自己希望を申告するようにいい、その後、交渉した方が良いでしょう。こちらからは指定しない方がよいでしょう(法的にもそうですし、ベトナムでの一般的な買い物交渉と同じ理屈です)。なお、書面でのやり取りがうまく行かない場合には、メールで合意形成し、できれば英語かベトナム語で合意を取っておいた方が、後にトラブルに発生した場合も使いやすいと思います。
- テレワーク時の給与も通常時同様に満額の給与を得たいという社員に対しては、テレワークが、いかに、オフィスワークより業務効率が下がるものであるかを根気よく説明する必要があるでしょう。Covid-19だから家計が大変だという個人的な事情を強く言ってくる方は、雇用者の事情をいくら話しても合意には至らないと思います。参考になるかわかりませんが、コンサルタントその他専門家業では、時間単位で報酬をいただいたりしますが、そのような専門家業であっても、パソコン又は電話一つでいつでもどこからでも業務品質を維持するのは、それなりの高い業務規律と自己管理が必要ですので、一般社員の方は、どうしても業務効率が落ちるはずです。
- これらのほか、SkypeやZoomを使って、定期的に顔を見た会議を行うことでしょう。思わぬ退職者が出た場合でも、積極的にオンライン面接を実行される企業もあります。Facebookのメッセンジャーでも同様な機能が出たと聞きましたが、Facebookは一般的に、上司との登録を嫌がるケースが多いイメージがありますので、業務使用は現実的でないかもしれません。
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現在、雇用者の皆様においては、事業継続、雇用継続に対して、様々な課題、懸念があると思います。しかし、このような時期だからこそ、しっかりと、顧客、従業員、又は自社の事業と向き合えるのではとも思います。
在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)の検討・実践は、正にそのような作業だと考えます。そもそも、雇用者自身が一定の在宅勤務を実践していかねばならない時期です。
日本では大規模なセーフティーネットが実施されています。助成金ではありませんし、各自治体のアポイントが1か月取れないような状態と聞いていますので、決して楽観的な考え方は持てませんが、雇用者としてやるべきことは多いでしょう。
以上、ばらばらと私見を書きました。弊社も日々やるべきことに邁進してまいります。