いつもお読みいただきありがとうございます。2021年1月1日より施行される2020年投資法より、前回116号レターに続き第2弾です。
今回は投資方針承認(2014年投資法では投資方針決定)を紹介します。
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投資方針決定と投資方針承認
2014年投資法(現行法)には、投資方針決定(Investment Policy Decision – IPD)を必要とする投資プロジェクト種類が定められており、投資方針決定には国会、政府首相、省市レベル人民委員会の3種類のオーソリティーによる3種類の手続きが定めれています。
投資方針決定の対象となるプロジェクトは、公共投資法に定められる投資プロジェクト種類のほか、プロジェクトの業種、規模、内容などによって定められ、投資ライセンス(IRC)の前に必要とされます。
一方で、2020年投資法では、投資方針決定という用語が投資方針承認(Investment Policy Approval – IPA)に変更され、政府首相および省市レベル人民委員会の投資方針決定の対象が広がっています。
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国会による投資方針承認が必要な対象
2014年投資法の第30条より特に変更はありません。1項b号に対し、特用林、国境保護のための森林という用語が加わりました。
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政府首相による投資方針承認が必要な対象
2014年投資法第31条 | 2020年投資法第31条 |
1、資金ソースを問わない次の各号に該当するプロジェクト
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1、資金ソースを問わない次の各号に該当するプロジェクト
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2、前項に規定される範囲のプロジェクトではなく、5兆ドン以上の投資資本規模を有するプロジェクト | 2、外国投資家による次のプロジェクト:ネットワークインフラを有する通信、植林、出版、メディア。 |
3、外国投資家による次のプロジェクト:海運、ネットワークインフラを有する通信、植林、出版、メディア、科学技術組織の設立、100パーセント外資の科学技術企業。 | 3、省市レベル人民委員会の投資方針承認に属するプロジェクトで同時に2つ以上の省市にかかる投資プロジェクト。 |
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省市レベル人民委員会による投資方針承認が必要な対象
2014年投資法第32条 | 2020年投資法第32条 |
1、公共投資に関する法令に基づく省市レベル人民委員会の投資方針決定権限に属する各プロジェクト、投資法第30条及び第31条に定められる各プロジェクトを除き、省市レベル人民委員会は、以下に示す各プロジェクトに対する投資方針を決定する。
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1、投資法第30条及び第31条に定められる各プロジェクトを除き、省市レベル人民委員会は、以下に示す各投資プロジェクトに対する投資方針を承認する。
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2、前項a号に定められる投資プロジェクトで、工業団地、輸出加工区、ハイテクパーク、経済区において実施され、権限を有する機関により承認された(土地使用)計画に適しているプロジェクトは、省市レベル人民委員会に対して投資方針決定の申請を行わなくてよい。 | 2、前項のa号、b号及びd号で、工業団地、輸出加工区、ハイテクパーク、経済区において実施され、権限を有する機関により承認された(土地使用)計画に適しているプロジェクトは、工業団地、輸出加工区、ハイテクパーク、経済区の管理委員会が投資方針を承認する。 |
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不動産事業法、土地法、住宅法、建設法、環境保護法などに関連してくるプロジェクトは、一般的に、各種法律に規定された個別の手順と、投資法に定められるIPD(今後はIPA)又は投資ライセンス(IRC)と競合するケースがありました。
次回は、この点に少し触れたいと思います。