いつもお読みいただきありがとうございます。2021年2月1日から施行される政令145/2020/ND-CPは、2021年1月1日より施行される2019年労働法の細則を定めています。それにより、2012年労働法について細則を定めた各種の政令は2021年2月1日で失効します。
今回は、その中より人材派遣業にかかる内容をご紹介します。人材派遣業について定めた政令29/2019/ND-CPは2021年2月1日で失効しますのでご注意ください。
(参照:弊社103号レター:人材派遣業ライセンス)
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労働派遣ライセンスの条件(政令145/2020/ND-CP)
- 現地代表者(法定代表者 兼 事業責任者)が、直近5年間のうち、人材派遣業の直接的な専門家又は責任者として3年以上(36か月以上)の歴を有すること。無犯罪証明。
- 供託金(エスクロー):20億ドン(約1,000万円)
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労働派遣ライセンスでできること(政令145/2020/ND-CP)
- 次の分野への12か月間の人材派遣(政令29/2019/ND-CPと変わりません)。
(1) 通訳・翻訳・速記, (2) 秘書・総務, (3) 受付, (4) 旅行ガイド, (5) 販売サポート, (6)プロジェクトサポート, (7) 生産用機械のシステムプログラミング, (8) テレビ・通信設備の生産・設置, (9) 建設機械・生産用の電気システムの操作・検査・修理, (10) 建物・工場の清掃, (11) 資料の編集, (12) ボディーガード・守衛, (13) テレマーケティング・カスタマーケア, (14) 会計・税務, (15) カーケア・メンテナンス, (16) 工業用図面のスキャン・設計・内装, (17) 車の運転, (18) 船舶管理・運営・保守などサービス, (19) 石油掘削承知の管理・監督・運営・修理・保守などサービス, (20) 航空機制御、航空機サービス、航空機及び航空機器の保守・修理・管理、飛行操作・飛行監視
- ライセンス有効期間は5年で、延長可能です(延長回数制限はありません)。
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その他
- 労働派遣ライセンス取得時、延長時、再取得時などの書類フォームが変わり、添付書類についての細かな規定が加えられています(例えば、無犯罪証明が外国語である場合にはベトナム語に翻訳し認証を受けた上で合法化(領事合法化)を受けなければならないと具体化されました)。
- 労働派遣ライセンスの延長時の条件として、「ライセンス期間中に人材派遣にかかる違反を2回以上罰せられていないこと」とあったところ、「ライセンス没収のケースに該当しないこと」に変わりました。
- 供託金(エスクロー)の開設、没収、解除(返金)について手順が変わりました。
- 年間2回の定期報告(6月20日まで及び12月20日まで)に変更はありません。
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経過規定
本政令前に労働派遣ライセンスを有している企業は、ライセンスに記載された期限まで有効となり、その後は新政令の条件や手順に従ったライセンスの延長や再取得となります。
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人材派遣業を管理していく上で最低限必要なコンプライアンス基準は17種類あります(罰則規定をベースにしています)。
しかしながら、労働上の安全及び衛生について特に厳重な注意を求められる業種(労働傷病兵社会問題省の通達06/2020/TT-BLDTBXH)に派遣を行う場合には、派遣先企業と労働災害及び職業病について細かく規定する必要があり、かつ雇用者としての義務もありますので注意が必要です。