いつもお読みいただきありがとうございます。今回は、日本などベトナム国外からベトナム国内ユーザーに対してデータ等や会員サイトのアクセス権を提供して対価を得るサービス形態についての外国契約者税についてです。
今回の内容は、ハノイ税務局が日系企業に回答した公文書に基づいており、知的財産権にかかる収益についての外国契約者税を紹介した弊社145号レターとは異なる個別のケースが追加され、興味深いものです。
※外国契約者税のサマリーについては、弊社063号レターもご参照ください。
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アクセス権の提供サービスに係るみなし法人税率
- コンピュータープログラムやデータの集合体は、著作物として保護される対象になります(2009年改正知的財産法の第14条)。ただし、通信目的のみで使用するプログラムやデータの集合体は、除外対象となります。
- コンピュータープログラムは、いかなる表現であっても文学的な著作物として保護されるものであり、データの集合体は、それらを整理、選択することによって創造的に示されるものであると定められています(2009年改正知的財産法の第22条)。
- 一方で、技術移転法に定められる移転技術にも「データ情報」が含まれています。したがって、アクセス権とは、一般的に知的財産法の対象または技術移転法の対象となり、法人税法上の区分では、弊社63号レター及び145号レターで紹介したとおり、権利収入(みなし法人税率10%)に該当します。
- なお、権利収入の定義は、外国契約者税について定める財務省通達103/2014/TT-BTCの第7条3項にあります。
「権利収入とは、知的財産権又は移転技術の使用又は移転、ソフトウェア権について支払われる形式を問わない所得(著作権、著作物所有権、工業所有権、技術、ソフトウェア権の使用や移転に支払われる金額も含む)である。」
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アクセス権の提供サービスに係るみなし付加価値税率
- 本ケースでは、権利収入が知的財産の移転譲渡や技術移転譲渡に該当しない場合(付加価値税法上の非課税に該当しない場合)に言及し、これについて、みなし付加価値税率の最高税率である5%を適用するとしています。
- これは、対象となるアクセス権を具体的に知らないと何とも言えませんが、少々ややこしい解釈に見受けます。
適用 | 税率 | |
付加価値税 | 知的財産の移転譲渡・技術移転譲渡ではないケース(機械設備リース、保険、その他のサービス、原材料や機械設備の供給を伴う建設及び設置サービス) | 5% |
法人税 | 権利収入 | 10% |
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外国契約者税の納税義務者
外国契約者税は、外国の事業者に直接的に課されるケースと間接的に課されるケースが定義されています。間接的に課されるケースは、主に以下のケースで、ベトナム法に準じて設立または活動登録している事業者(個人含む)が納税義務者となります。これらのケースでは、外国の事業者に支払送金を行う前に、外国契約者税を控除する責任が発生します。
- (外国の事業者より)サービス提供や商品に付随するサービス提供を受ける、或いは請負契約又は下請契約に基づいたベトナムで発生する所得の支払いを行う者
- 現地輸出入形式、または国際貿易条件(インコタムズ)形式にて貿易を行う者
- ベトナムにおいて外国の組織や個人の代わりに商品流通やサービス提供を行う者
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昨今、国際間でのデータ提供サービスにかかる税務の文書を定期的に見かけます。また、新たな情報があれば紹介させていただきます。