いつもお読みいただきありがとうございます。2021年1月1日より施行される2020年投資法より、116号レター及び123号レターに続き第3弾です。
今回は、2020年投資法における環境保護法の変更部分について紹介します。082号レターとも合わせてお読みいただけますと幸いです。
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2020年投資法の第75条3項
- ここでは、2014年環境保護法(現行法)のいくつかの条項を修正、加筆しています。2014年環境保護法は、2019年公共投資法などによって修正されてきており、且つ、現在も環境保護法の新法に向けての草案が出されていますが、2021年1月1日に施行される2020年投資法においても変更されました(ややこしいです!)。
- まずは以下、直訳です。
第25条2項a号を次の通りに修正、加筆する。
「本法の第18条に規定される対象に対して、権限を有する者が環境影響の予備的評価に基づき投資方針を承認する。投資家は、環境影響評価報告が承認された後にのみプロジェクトを実施できる。
公共投資プロジェクトについては、権限を有する者が環境影響の予備的評価に基づき投資方針を決定し、環境影響評価に基づき本法第18条に規定される対象に対して投資を決定する。政府は、環境影響の予備的評価の対象や内容の詳細を定めるものとする。」
第25条2項d号を次の通りに修正、加筆する。
「本項a号、b号、c号及びd号に定められた対象に属さないプロジェクトについて、権限を有する者が環境影響の予備的評価に基づき投資登録証明書を発給する。投資家は、環境影響評価報告が承認された後にのみプロジェクトを実施できる。」
- 2014年環境保護法の第18条とは、環境影響評価報告書(EIA = Environmental Inpact Assessment)の対象規定で、国会・政府・政府首相が方針を決定するプロジェクト、認定された自然保護区域・国立公園・歴史及び文化遺跡区域・世界遺産・生物保護区域・景勝地を使用するプロジェクト、環境への悪影響が見込まれるプロジェクト、とされています。
- 環境影響の予備的評価(PEIA = Preliminary Environmental Impact Assessment)は、現行法には特に定義がありませんが、2020年5月28日付けの環境保護法第3回草案の第36条において、新たに定められています(別の機会にレターを書きます)。
- 2014年環境保護法の第25条2項d号では、投資証明書(IC=2014年投資法以前の呼称)の前に必要とされていました。
以上より、2020年投資法では、IRC(投資ライセンス)やIPA(投資方針承認)より前に必要となる手順は、環境影響評価報告書(EIA)ではなく環境影響の予備的評価(PEIA)だとしました。そして、IRCやIPAの取得後、プロジェクトの実際的稼働までに(試験稼働期間など)、EIAを仕上げるように手順を整理したものとなっています。
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他の法律との関係性
- 2019年7月1日に施行された政令40/2019/ND-CPにおいては、鉱産物のプロジェクト、石油の調査・開発のプロジェクト、建設投資プロジェクト以外のEIAを要するプロジェクトにおいては、「プロジェクトの投資決定」の前にEIA提出(当局承認含む)が明記されました。
- 「プロジェクトの投資決定」とはIRC(投資ライセンス)やIPD(投資方針決定)と解され、これらの前にしっかりしたEIAを仕上げることは(当局承認含む)、手順として矛盾がありました(競合状態)。
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チャイナプラスワンとして着目されてきたベトナムですが、ここにきて、改めて製造拠点のベトナム移管の問い合わせが増えております。
製造業の進出においては、環境保護の論点、EPEの論点、原産地規制など、まだまだ一筋縄では理解できず、かつ、地域当局の担当者によっても理解が異なるような実務の現場になっています。新規の皆様がなるべくスムーズにベトナムプロジェクトに入れるようサポートとしてまいります。